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第6話 だから俺は ベンジャミン視点(1)

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「だから俺は、お前には負けない。ゼネベック公爵家に泣きついて俺を黙らせようとしても、そのゼネベック家は僅かも動いてはくれないんだよ」

 説明を終えた俺は、改めてペンダントを――紋章を、見せつける。
 言わずもがな『大公』は、『筆頭公爵』よりも格が上。ゼネベック公爵はこの男をいたく可愛がっているようだが、もちろん自分の身が一番かわいい。損得を考え、閣下に喧嘩を売るような真似は決してしない――一切、介入しないだろう。

「残念だったな、ピエール。強力な後ろ盾は、お前の専売特許ではないんだよ」
「ぐ……。ぐ……っ。ぐぅ……っっ」
「これでハッキリと、今の状況が分かっただろう? お前が好き放題できる時間は、とっくに終わっていたんだ」

 強力な家の名を出して、好き勝手振る舞う。そんなことは、もうできない。

「……っ。…………っっ。…………っっっ」
「いいか、ピエール。これ以上ルーシーに付き纏うのであれば、閣下に依頼をし潰してもらう。あんなことをしたお前と、そんなお前を自由にさせている父親をな」
「………………っ」
「それでもいいなら、続けるといい。それが嫌なら、これから出す命令に従え」

 本音を言えば、この場で徹底的に潰しておきたい。あんなことをして、こんなことをしたヤツの心と身体を、粉々に粉砕してやりたい。
 しかしながらここでそうしてしまえば、苦しみは比較的短い時間で終わってしまう。そこでコイツに――こちらにとっても都合の良い、ピッタリな罰を用意した。

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