最愛の人が、元婚約者にしつこく復縁を迫られているらしい

柚木ゆず

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第5話 回想~2人の出会いと恋と、決意~ ベンジャミン視点(4)

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((…………家の力を高めるのは、どうやっても不可能。それこそピエールのサテファーズ家のように、他家の力を借りるしかないな))

 力を得る方法を探し始めてから、4日後。予想通りどう足掻いても無理だと理解した俺は、そう確信するや動き出す。

((……サテファーズ伯爵家のように、先祖からの縁がない場合は強力な味方を作れない))

 なぜなら、信頼関係がないから。あちらに手を貸す理由がないため、その手の懇願をしても相手にはされない。

((……だから……。手を貸す理由を、作るしかない))

 そこで俺は社交界を様々な角度から嗅ぎ回り・・・・、膨大な時間と労力を費やしたものの、上位貴族絡みの『懸念』を把握する。そして父上は、下手をすると反感を買いかねないという理由で難色を示していたが――

「失敗できない理由がありますので、失敗は致しません。必ずや成功させます」

 ――説得を行い、大公閣下の失脚計画など4つの芽への対応を開始させる。
 相手はタチの悪い上位貴族ばかりなため苦労をしたものの、

・泥臭い調査で、相手の情報を完璧に知得できていたこと。
・大公と俺は一切の関係がなく、あちらは俺の行動を予想できなかったこと。
・ありもしない裏切り者がいるとの噂を流し、敵側を上手く疑心暗鬼にできたこと。

 それらによって、無事全て成功。その後、それらの『貢献』を閣下に伝えるなどして――結局1年近く費やしてしまったけれど、どうにか納得できるだけの『武器』を手に入れられたのだった。
 なのでようやく、

「ルーシー。一緒に、もう一歩先に進んでくれませんか?」
「……ベンジャミン様。それは……っ」
「うん。…………ルーシー・レーズリック様。どうか、僕の婚約者になってください」

 プロポーズを行い、俺達は婚約者となった。そしてその一か月後、昨日――

『ピエール様は、関係を戻したいようでして……。6日前から、しつこく復縁を迫られるようになってしまったのですよ……』

 最愛の人に起きたトラブルを知り、用意していた『武器』を使うことにしたのだった。

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