最愛の人が、元婚約者にしつこく復縁を迫られているらしい

柚木ゆず

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第2話 ピエールという男~復縁を求め始めた理由~ 俯瞰視点(1)

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 たとえば――。
『1番』と『2番』。それが目の前にあったとして。どちらか一つを選べと言われたら、誰もが1番を選ぶだろう。
 あれは、そんな出来事だった。

 ――ルーシー・レーズリック――。

 艶のあるブロンド。柔らかなタレ目や形の良いピンク色の唇。小柄なものの魅力溢れる肢体。穏やかで落ち着いた、優しい性格。それらが生み出す、最高の微笑み。
 美の女神・アフロディーテによって創られた、そう確信してしまえる奇跡の女性。それがルーシーだった。
 だから僕が、共通の友人が主催するパーティーでああなるのは――一目惚れをしてしまうのは、必然的だった。
 そしてそんな僕は内外共に完璧な美男なのだから、交際が始まるのも必然的だった。


『ルーシー。僕と交際をしてくれるかな?』
『はい。ピエール様』


 こうして僕達は恋人となり、様々な楽しい時間を過ごした。だから、そんな感情が生まれるのも必然的だった。

 早く結婚をできる歳になれ!!
 どうして年齢に制限なんてあるんだ!!

 その当時僕は16で、ルーシーは14歳。結婚可能な18の訪れを渇望していて、僕はこの国のルールにいつもイライラしていた。

 だが――。

 年齢制限はあの日、僕にとって都合のよかったものだと理解する。

 ――ステファニー・エルダリンス――。

 シルクのようなブロンド。上品なツリ目や色香漂う口元。豊満なボディー。気品あふれる大人びた性格。それらが合わさって生み出す、ラグジュアリーなオーラや魅惑的な微笑。
 美の女神が降臨した。そう感じる女性、それがステファニー。


 美の女神が創った者と、美の女神。


 そんな2人が、勝負になるはずがなかった。

((……僕は今まで、こんな女に惚れていたのか。こんな女に、貴重な時間を使わされていたのか・・・・・・・・・……‼))

 人生は有限で、僕は有能。稀有で貴重な時間を、3年間も消費させられたこと。惑わされたこと。
 それによって怒りが湧き上がり、その鬱憤をヤツの目の前でたっぷりと晴らした後、真の1番ステファニーと過ごすようになった。
 そして僕は、すぐに婚約をしたかったのだが――

「ピエールや。それは賢明ではないぞ」

 ――後ろ盾懇意にしていただいているゼネベック卿からの苦言により、それは一年後となった。そうしてようやく、婚約果たした――のだけれど……。それから、わずか1か月後のことだった。
 本当に、不意に。とあることが、大きな大きなことが、起きたのだった。






※本日はお昼ごろに、もう1話投稿をさせていただきます(時間に余裕があった場合は夕方~夜ごろに、さらにもう1話投稿をさせていただきます)。
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