5 / 30
第2話 ピエールという男~復縁を求め始めた理由~ 俯瞰視点(1)
しおりを挟む
たとえば――。
『1番』と『2番』。それが目の前にあったとして。どちらか一つを選べと言われたら、誰もが1番を選ぶだろう。
あれは、そんな出来事だった。
――ルーシー・レーズリック――。
艶のあるブロンド。柔らかなタレ目や形の良いピンク色の唇。小柄なものの魅力溢れる肢体。穏やかで落ち着いた、優しい性格。それらが生み出す、最高の微笑み。
美の女神・アフロディーテによって創られた、そう確信してしまえる奇跡の女性。それがルーシーだった。
だから僕が、共通の友人が主催するパーティーでああなるのは――一目惚れをしてしまうのは、必然的だった。
そしてそんな僕は内外共に完璧な美男なのだから、交際が始まるのも必然的だった。
『ルーシー。僕と交際をしてくれるかな?』
『はい。ピエール様』
こうして僕達は恋人となり、様々な楽しい時間を過ごした。だから、そんな感情が生まれるのも必然的だった。
早く結婚をできる歳になれ!!
どうして年齢に制限なんてあるんだ!!
その当時僕は16で、ルーシーは14歳。結婚可能な18の訪れを渇望していて、僕はこの国のルールにいつもイライラしていた。
だが――。
年齢制限はあの日、僕にとって都合のよかったものだと理解する。
――ステファニー・エルダリンス――。
シルクのようなブロンド。上品なツリ目や色香漂う口元。豊満なボディー。気品あふれる大人びた性格。それらが合わさって生み出す、ラグジュアリーなオーラや魅惑的な微笑。
美の女神が降臨した。そう感じる女性、それがステファニー。
美の女神が創った者と、美の女神。
そんな2人が、勝負になるはずがなかった。
((……僕は今まで、こんな女に惚れていたのか。こんな女に、貴重な時間を使わされていたのか……‼))
人生は有限で、僕は有能。稀有で貴重な時間を、3年間も消費させられたこと。惑わされたこと。
それによって怒りが湧き上がり、その鬱憤をヤツの目の前でたっぷりと晴らした後、真の1番ステファニーと過ごすようになった。
そして僕は、すぐに婚約をしたかったのだが――
「ピエールや。それは賢明ではないぞ」
――後ろ盾ゼネベック卿からの苦言により、それは一年後となった。そうしてようやく、婚約果たした――のだけれど……。それから、わずか1か月後のことだった。
本当に、不意に。とあることが、大きな大きなことが、起きたのだった。
※本日はお昼ごろに、もう1話投稿をさせていただきます(時間に余裕があった場合は夕方~夜ごろに、さらにもう1話投稿をさせていただきます)。
『1番』と『2番』。それが目の前にあったとして。どちらか一つを選べと言われたら、誰もが1番を選ぶだろう。
あれは、そんな出来事だった。
――ルーシー・レーズリック――。
艶のあるブロンド。柔らかなタレ目や形の良いピンク色の唇。小柄なものの魅力溢れる肢体。穏やかで落ち着いた、優しい性格。それらが生み出す、最高の微笑み。
美の女神・アフロディーテによって創られた、そう確信してしまえる奇跡の女性。それがルーシーだった。
だから僕が、共通の友人が主催するパーティーでああなるのは――一目惚れをしてしまうのは、必然的だった。
そしてそんな僕は内外共に完璧な美男なのだから、交際が始まるのも必然的だった。
『ルーシー。僕と交際をしてくれるかな?』
『はい。ピエール様』
こうして僕達は恋人となり、様々な楽しい時間を過ごした。だから、そんな感情が生まれるのも必然的だった。
早く結婚をできる歳になれ!!
どうして年齢に制限なんてあるんだ!!
その当時僕は16で、ルーシーは14歳。結婚可能な18の訪れを渇望していて、僕はこの国のルールにいつもイライラしていた。
だが――。
年齢制限はあの日、僕にとって都合のよかったものだと理解する。
――ステファニー・エルダリンス――。
シルクのようなブロンド。上品なツリ目や色香漂う口元。豊満なボディー。気品あふれる大人びた性格。それらが合わさって生み出す、ラグジュアリーなオーラや魅惑的な微笑。
美の女神が降臨した。そう感じる女性、それがステファニー。
美の女神が創った者と、美の女神。
そんな2人が、勝負になるはずがなかった。
((……僕は今まで、こんな女に惚れていたのか。こんな女に、貴重な時間を使わされていたのか……‼))
人生は有限で、僕は有能。稀有で貴重な時間を、3年間も消費させられたこと。惑わされたこと。
それによって怒りが湧き上がり、その鬱憤をヤツの目の前でたっぷりと晴らした後、真の1番ステファニーと過ごすようになった。
そして僕は、すぐに婚約をしたかったのだが――
「ピエールや。それは賢明ではないぞ」
――後ろ盾ゼネベック卿からの苦言により、それは一年後となった。そうしてようやく、婚約果たした――のだけれど……。それから、わずか1か月後のことだった。
本当に、不意に。とあることが、大きな大きなことが、起きたのだった。
※本日はお昼ごろに、もう1話投稿をさせていただきます(時間に余裕があった場合は夕方~夜ごろに、さらにもう1話投稿をさせていただきます)。
0
お気に入りに追加
887
あなたにおすすめの小説

男爵令嬢の私の証言で公爵令嬢は全てを失うことになりました。嫌がらせなんてしなければ良かったのに。
田太 優
恋愛
公爵令嬢から嫌がらせのターゲットにされた私。
ただ耐えるだけの日々は、王子から秘密の依頼を受けたことで終わりを迎えた。
私に求められたのは公爵令嬢の嫌がらせを証言すること。
王子から公爵令嬢に告げる婚約破棄に協力することになったのだ。

婚約破棄にはなりました。が、それはあなたの「ため」じゃなく、あなたの「せい」です。
百谷シカ
恋愛
「君がふしだらなせいだろう。当然、この婚約は破棄させてもらう」
私はシェルヴェン伯爵令嬢ルート・ユングクヴィスト。
この通りリンドホルム伯爵エドガー・メシュヴィツに婚約破棄された。
でも、決して私はふしだらなんかじゃない。
濡れ衣だ。
私はある人物につきまとわれている。
イスフェルト侯爵令息フィリップ・ビルト。
彼は私に一方的な好意を寄せ、この半年、あらゆる接触をしてきた。
「君と出会い、恋に落ちた。これは運命だ! 君もそう思うよね?」
「おやめください。私には婚約者がいます……!」
「関係ない! その男じゃなく、僕こそが君の愛すべき人だよ!」
愛していると、彼は言う。
これは運命なんだと、彼は言う。
そして運命は、私の未来を破壊した。
「さあ! 今こそ結婚しよう!!」
「いや……っ!!」
誰も助けてくれない。
父と兄はフィリップ卿から逃れるため、私を修道院に入れると決めた。
そんなある日。
思いがけない求婚が舞い込んでくる。
「便宜上の結婚だ。私の妻となれば、奴も手出しできないだろう」
ランデル公爵ゴトフリート閣下。
彼は愛情も跡継ぎも求めず、ただ人助けのために私を妻にした。
これは形だけの結婚に、ゆっくりと愛が育まれていく物語。

【完結】愛していないと王子が言った
miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。
「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。
※合わない場合はそっ閉じお願いします。
※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。

婚約破棄された私は、世間体が悪くなるからと家を追い出されました。そんな私を救ってくれたのは、隣国の王子様で、しかも初対面ではないようです。
冬吹せいら
恋愛
キャロ・ブリジットは、婚約者のライアン・オーゼフに、突如婚約を破棄された。
本来キャロの味方となって抗議するはずの父、カーセルは、婚約破棄をされた傷物令嬢に価値はないと冷たく言い放ち、キャロを家から追い出してしまう。
ありえないほど酷い仕打ちに、心を痛めていたキャロ。
隣国を訪れたところ、ひょんなことから、王子と顔を合わせることに。
「あの時のお礼を、今するべきだと。そう考えています」
どうやらキャロは、過去に王子を助けたことがあるらしく……?

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる