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第1話 元婚約者・ピエールの奇行 ベンジャミン視点(2)
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「べっ、ベンジャミン様っ! お気持ちだけ受け取らせていただきますっ。そちらは危険ですのでっ!」
俺の言葉を聞いたルーシーは、即座に首を大きく左右に振った。
俺達3人の家は共に伯爵家で、その中での立ち位置もほぼ同じ。しかしながらピエールには――サテファーズ家には、筆頭公爵家という強力な後ろ盾がある。そのためルーシー達は当時、身勝手な振る舞いに強く出られなかったのだ。
「……ヴァルスター家とレーズリック家、俺達の家は地位も財力も人脈も同等。確かに、そうだね。以前のままで立ち向かっていたら、危険だったと思うよ」
「べ、ベンジャミン様……?」
「あのさ、ルーシー。君に婚約を申し込んだ際に、俺は何て言ったかな?」
「『どんなことがあっても、貴方の心身を生涯護ると誓います』。このように仰ってくださいました」
そう。俺は1か月前にそう告げ、婚約者になってもらった。
その言葉が嘘にならないようにしてから、ルーシーに申し込んだんだ。
「……俺は今でも、初めて君と会った日のことを忘れられなくてね。絶対に、辛い思いをさせたくなかった。だから、そういう『邪魔者』を排除できる『武器』を用意してあるんだよ」
「え……? ほ、本当、なのですか……?」
「ああ、本当だよ。実を言うとプロポーズはもっと早く行う予定で、その用意をしていたから少し遅くなってしまったんだよ」
俺達は出逢って3か月目で交際を始め、その頃にはすでに――およそ1年と2か月前には、ソレを申し込みたいと思うようになっていた。けれど…………。
『……どうか、止めないでください……。もう、生きているのが辛いんです……』
雨でずぶ濡れになった、弱弱しい姿。絶望に染まった力ない瞳。
それがずっと頭にあり、今のままでは何かあっても阻止できないと――また酷く悲しませてしまう危険性があった。そこでそれを防げる『武器』を得られるよう、ずっと必死に動き回っていた。
先週会えなかったのも、ソレの維持や更なる強化によるものだったのだ。
「ちょっとした守秘義務のようなものがあって、これまで言えなかった――今も、これ以上は言えないんだけどね。こうだから、筆頭公爵家の後ろ盾があっても危険じゃないんだ。簡単に撃退やお礼をできるから、安心してもらっていいよ」
「そう…………だったのですね。私のために…………ありがとうございます」
「どういたしまして。じゃあ早速だけど、ソレに関する話をさせてもらうね」
撃退やお礼をするには、いくつか把握しておかなければならない点がある。そこでハンカチで彼女の嬉し涙をそっと拭った後、今一度グリーンの瞳を見つめたのだった。
俺の言葉を聞いたルーシーは、即座に首を大きく左右に振った。
俺達3人の家は共に伯爵家で、その中での立ち位置もほぼ同じ。しかしながらピエールには――サテファーズ家には、筆頭公爵家という強力な後ろ盾がある。そのためルーシー達は当時、身勝手な振る舞いに強く出られなかったのだ。
「……ヴァルスター家とレーズリック家、俺達の家は地位も財力も人脈も同等。確かに、そうだね。以前のままで立ち向かっていたら、危険だったと思うよ」
「べ、ベンジャミン様……?」
「あのさ、ルーシー。君に婚約を申し込んだ際に、俺は何て言ったかな?」
「『どんなことがあっても、貴方の心身を生涯護ると誓います』。このように仰ってくださいました」
そう。俺は1か月前にそう告げ、婚約者になってもらった。
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「……俺は今でも、初めて君と会った日のことを忘れられなくてね。絶対に、辛い思いをさせたくなかった。だから、そういう『邪魔者』を排除できる『武器』を用意してあるんだよ」
「え……? ほ、本当、なのですか……?」
「ああ、本当だよ。実を言うとプロポーズはもっと早く行う予定で、その用意をしていたから少し遅くなってしまったんだよ」
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『……どうか、止めないでください……。もう、生きているのが辛いんです……』
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それがずっと頭にあり、今のままでは何かあっても阻止できないと――また酷く悲しませてしまう危険性があった。そこでそれを防げる『武器』を得られるよう、ずっと必死に動き回っていた。
先週会えなかったのも、ソレの維持や更なる強化によるものだったのだ。
「ちょっとした守秘義務のようなものがあって、これまで言えなかった――今も、これ以上は言えないんだけどね。こうだから、筆頭公爵家の後ろ盾があっても危険じゃないんだ。簡単に撃退やお礼をできるから、安心してもらっていいよ」
「そう…………だったのですね。私のために…………ありがとうございます」
「どういたしまして。じゃあ早速だけど、ソレに関する話をさせてもらうね」
撃退やお礼をするには、いくつか把握しておかなければならない点がある。そこでハンカチで彼女の嬉し涙をそっと拭った後、今一度グリーンの瞳を見つめたのだった。
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