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第2話 理由 俯瞰視点(2)

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「はっはっはっ、どうしてこんな簡単なことが思い付かなかったんだろうな! 問題がなければ、作ってしまえばいいだけじゃないか!」

 ――アルマの不貞を捏造する――。

 それが、カミーユの父ベルナールが考えたものでした。

「……カミーユあやつ亡き妻ルナに似ていて、中性的な顔をしている。そこを利用するか」

 誰にも言っていなかったがアルマは男らしい顔がもっとも好みで、偶然正反対の令息を見掛けて一目惚れをしていた。カミーユやベルナールに隠れて交際を行っていた。
 まずはそういったシナリオを組み立て、

「…………よし、出来たぞ。次は、どうやってこの問題を露見させるかだな……」

 少しでも不自然があれば、捏造だと思われ兼ねません。完璧な形で縁を切らないと、スムーズに次の婚約話を進められなくなってしまいます。
 そのため更に詰めて――

「……そうか。そうだ! 信憑性も、無理やり作ってしまえばいいんだ!」

 婚約しようと約束し『どうにかしてカミーユと別れる』と約束していたものの、カミーユが『時の人』となったことで考えは変わってしまう。逆に浮気相手との縁を切ろうと判断し、それを知った浮気相手が怒り出す。
 このような作戦が、誕生したのでした。

「よーしよし、問題点は全て解決した! あとは『演者』を用意すれば完璧だ!!」

 この計画は、浮気相手がいなければ始まりません。そこで早速ベルナールは協力者探しを始め、その僅か1週間後に偶然発見することとなりました。

((ゼサデント子爵家の、マルセル。まさか異国で、お誂え向きな男を見つけられるとはな))

 水彩画協会に招待されたカミーユについて、北側に位置する隣国ノフェルアを訪れていた時のことでした。彼は貧乏子爵家の存在を知り、ゼサデント子爵家の現状を利用して最高の『相棒』と出会っていたのです。

 ――金がないせいで、全然貴族らしい生活が出来ていないのでしょう? であるならば、金のある平民になった方がマシではありませぬか?――。
 ――非難を浴び始めたら、家を捨てて逃げればいいだけ。一時的に汚れ役となるだけで1億リーブス(1リーブス=1円)が手に入る、よい取り引きだとは思いませんか?――。
 ――確かに、最高だ! 乗りましょう――。

 ベルナールは私物の売却などによって秘密裏に工面した前金5000万リーブスを渡し、マルセルとマルセルの父ニックを味方につけていました。ですので今日――受賞以降初めて二人が会うタイミングでマルセルは動き出し、

「アルマ様っ、どうしてその男と手を繋いでいらっしゃるのですか!? 『今の婚約者とは別れる』、そう約束してくださったのに!!」

 あの場に現れ、あのように叫んでいたのです。

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