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第10話 魔王ダーズンの復活 クリスチアーヌ視点(3)

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「…………この国の、守護獣……。眷族1、2、3と思っていたのは、眷属ではなかったのか……」
「ええ、国を護る正反対の存在ですね。アレらは魔王ダーズン様を護るためではなく、封印を護るための存在だったのですよねえ」

 だから全員が神聖な場所に居て、うっかり誰かが掘り起こしてしまい、何らかの間違いが起きてダーズンが復活してしまわないように地面の中で眠っていた。
 けれど――。そこに関しても、ダーズンが一枚も二枚も上手だった。
 聖女が隔離空間用の鍵を創る際に『鍵』に自分の魔力を流し込んでいて、1000年後に漏れ出す自分の魔力に反応するようにしていた――発見しやすい場所に現れるようにしていた。そして更に邪な魔力が宿った物の傍に1000年いたことにより、守護獣の精神が少しばかり汚染され、守護獣たちはちょっとした暴走状態に入っていた。
 そのため、わたし達を――転生者であるわたしはともかくとして、純粋なこの世界の人間であるサミュエル様でさえも『人外』だと認識してしまい、ああいうことになっていたとのことだった。

「この計画でもっとも難易度が高いポイントが、『守護獣の討伐』だったのですよ。そのために精鋭を育成して続々と王城に呼び寄せていたのですが、まさか勇者の力を受け継いだ者が現れるだなんて。僥倖の中の僥倖でしたよ!」
「………………………………」
「メギトートル様には特に感謝の念を抱いております。が、どうしても聞いてみたいことがあります。質問を許してくださいませ」
「質問? なにかしら?」

 しばらく黙っていたけれど、名指しされたので久しぶりに喋ってみた。
 いいわよ。なんでも答えてあげる。

「世界を護る力が宿り、世界を護るために振るった力で、世界崩壊の切っ掛けを作ってしまった。今の気分をお教えください。どんな気持ちですか?」
「そうねえ。別に、なんとも感じていないわ」
「またまたご冗談を。強がるのはよしましょう。本音を、その胸の中にあるありのままの感情を教えてくださいよ」
「はぁ、あのねえ。わたしは本当に――はいはい、分かってるわよ。アンタをのけ者にはしないわ」

 いつの間にか5分経っていたみたいで、ダーズンが本格的に活動し始めた。
 ずっと繭の中に居たダーズンちゃんがこっちの話に混ざりたいみたいだから、相手をしてあげましょうか。




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