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第9話 魔王への扉 クリスチアーヌ視点(2)
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「突然ですが、サミュエル様に問題です。こういった迷路は、なぜクリアが難しいのでしょうか?」
「え? ええと……。進む道が幾重にも分かれている上に周囲の景色が分からないから、クリアに時間がかかる――できない可能性があるのだと思います」
「正解です。ですから簡単にクリアしたかったら、そういった点を排除してしまえばいいのですよ」
真っすぐ前方に伸びてゆく道を見ていたわたしは身体の向きを左に90度変え、壁へと全身を向ける。その状態で肉体を強化する魔法を自分にかけたわたしは――
「えい」
――壁を殴り、大きな丸い穴を開けたのだった。
「こうすれば本来見ることが出来ない『向こう側』を見ることができて、行くことだってできます。こうやって自分で道を作りながら風通しを良くしていけば、目当てのものを簡単に見つけられるのですよ」
「た、確かに……。そ、そうですね」
「ゴールはスタート地点から遠いと、相場が決まっています。遠くにありそうなので、サクサクいきましょう」
それにこの迷路は景色が単調で、面白みがないものね。目の前に現れた壁をひたすら殴り壊して、ガンガン進んでいく。
「壁2枚目、3枚目、4枚目、5枚目、6枚目、7枚目、8枚目。9枚目、10枚目。この方向には、どのくらいの枚数があるのでしょうね? せっかくですし、当てっこをしませんか」
「そう、ですね……。50くらい、でしょうか」
「わたしは、100で予想しておきます。どっちが当たる、もしくは近いのか、楽しみですね」
「えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい――あら、壁が崩れませんでしたね。この以上は通路はないみたいなので、壁はさっきでお仕舞ですね」
「全部で110枚、でしたね」
「ふふ、わたしの方が近かったですね。では今度は、この方向に何枚あるか勝負です」
「えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい――この方向も、これで終わりですね」
「こちらは、全部で121枚。この迷路は正方形ではなく、長方形に近い形をしているみたいですね」
「よかった、それならまだ当てっこを楽しめますね。次は何枚で予想しますか?」
淡々とした作業が続くのだから、楽しみを作らないと暇で仕方がない。わたし達は枚数予想をしながら裏技? を使って迷路を闊歩してゆき――
「! クリスチアーヌ様っ!!」
「やっと、見つかりましたね」
――2時間半くらい、かかったかしらね。崩れ落ちた壁の向こうには部屋が広がっていて、その中央には巨大な黒い繭が鎮座していたのでした。
「え? ええと……。進む道が幾重にも分かれている上に周囲の景色が分からないから、クリアに時間がかかる――できない可能性があるのだと思います」
「正解です。ですから簡単にクリアしたかったら、そういった点を排除してしまえばいいのですよ」
真っすぐ前方に伸びてゆく道を見ていたわたしは身体の向きを左に90度変え、壁へと全身を向ける。その状態で肉体を強化する魔法を自分にかけたわたしは――
「えい」
――壁を殴り、大きな丸い穴を開けたのだった。
「こうすれば本来見ることが出来ない『向こう側』を見ることができて、行くことだってできます。こうやって自分で道を作りながら風通しを良くしていけば、目当てのものを簡単に見つけられるのですよ」
「た、確かに……。そ、そうですね」
「ゴールはスタート地点から遠いと、相場が決まっています。遠くにありそうなので、サクサクいきましょう」
それにこの迷路は景色が単調で、面白みがないものね。目の前に現れた壁をひたすら殴り壊して、ガンガン進んでいく。
「壁2枚目、3枚目、4枚目、5枚目、6枚目、7枚目、8枚目。9枚目、10枚目。この方向には、どのくらいの枚数があるのでしょうね? せっかくですし、当てっこをしませんか」
「そう、ですね……。50くらい、でしょうか」
「わたしは、100で予想しておきます。どっちが当たる、もしくは近いのか、楽しみですね」
「えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい――あら、壁が崩れませんでしたね。この以上は通路はないみたいなので、壁はさっきでお仕舞ですね」
「全部で110枚、でしたね」
「ふふ、わたしの方が近かったですね。では今度は、この方向に何枚あるか勝負です」
「えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい。えい――この方向も、これで終わりですね」
「こちらは、全部で121枚。この迷路は正方形ではなく、長方形に近い形をしているみたいですね」
「よかった、それならまだ当てっこを楽しめますね。次は何枚で予想しますか?」
淡々とした作業が続くのだから、楽しみを作らないと暇で仕方がない。わたし達は枚数予想をしながら裏技? を使って迷路を闊歩してゆき――
「! クリスチアーヌ様っ!!」
「やっと、見つかりましたね」
――2時間半くらい、かかったかしらね。崩れ落ちた壁の向こうには部屋が広がっていて、その中央には巨大な黒い繭が鎮座していたのでした。
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