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第8話 最後の目的地 クリスチアーヌ視点(4)
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「お待たせしました。鍵は無事回収できましたよ」
眷族その3の肉体が消滅したことより現れた赤色の鍵を空中で確保して、せっかくなので重力に引かれる自由落下を少しばかり楽しんだあと、転移魔法を使ってサミュエル様の目の前に戻ってきた。
「今回もお疲れ様です。そして、ありがとうございました。……あんなことを起こせるだなんて。改めて、魔法のすごさを実感しました」
「元々は攻撃用に創ったものではなく、濡れた服を早く乾燥させるために開発を始めた魔法なのですけどね。戦闘でも役に立ってくれました」
あれは50代の頃だった、と思う。外を歩いていて雨に濡れてしまった服を早く乾かしたくて、水分を蒸発させる魔法を生み出そうとしたのがきっかけ。
……あの時のわたしはついつい3日くらい不眠不休で研究をしていて、所謂『ヘンなノリ』になっていたんでしょうねぇ……。
魔法を構築している際に『どうせなら無段階でレベル調整できるようにして、水分だけじゃなくてなんでも蒸発させてしまえるようにしたら面白いわね!』と感じてしまい、誕生したのがアレなのよね。
「最後は意外な形となりましたが、ついに鍵が3つ集まりました。『黒の繭』――魔王ダーズンのもとに行けますね」
「そうですね。集めた鍵は、どう使うのでしょうね……?」
「それも、書いてはいませんでしたね。とりあえず全部出してみましょうか」
収納用の魔法陣を出して手を突っ込み、ガサゴソとなかを探って、緑色の鍵と青色の鍵を取り出した。
赤、青、緑。
どうでもいいことかもしれないけれど、光の三原色ね。
「………………待ってみても、なにも起きませんね。もう少し時間が必要なのでしょうか……?」
「もしくは、合わせることで何かが起き始めるのかもしれませんね。色々試してみましょう」
今はなんとなく、右手で緑と青の鍵、左手で赤の鍵を持っていた。そこで赤の鍵も右手で持つようにして――
「あっ!! クリスチアーヌ様っ!」
「はい。合わせる、が正解だったようですね」
――右手に3つ鍵が揃った瞬間、だった。それぞれの鍵がそれぞれの色に輝き出して、ふわりと宙に浮くようになった。
((へぇ、そんな風になるの。ここからどう動くのかしら?))
興味津々で眺めていると宙に浮いた3つの鍵は磁石のように引き寄せられていって、融合。3本の鍵は大きな――1メートルはある特大の鍵となって、くるりと縦と横方向に一回転ずつしたしたあと、グサリと虚空に突き刺さった。
((鍵穴に刺さった鍵、というところね。と、いうことは))
ガチャリ。虚空に突き刺さった鍵は右方向に90度周り、そうすると解錠された時のような音が辺りに響き渡った。
そして。
それを切っ掛けにして――
「っ! 扉だ!!」
――わたし達の目の前に、高さ3メートル程度の扉が出現したのだった。
眷族その3の肉体が消滅したことより現れた赤色の鍵を空中で確保して、せっかくなので重力に引かれる自由落下を少しばかり楽しんだあと、転移魔法を使ってサミュエル様の目の前に戻ってきた。
「今回もお疲れ様です。そして、ありがとうございました。……あんなことを起こせるだなんて。改めて、魔法のすごさを実感しました」
「元々は攻撃用に創ったものではなく、濡れた服を早く乾燥させるために開発を始めた魔法なのですけどね。戦闘でも役に立ってくれました」
あれは50代の頃だった、と思う。外を歩いていて雨に濡れてしまった服を早く乾かしたくて、水分を蒸発させる魔法を生み出そうとしたのがきっかけ。
……あの時のわたしはついつい3日くらい不眠不休で研究をしていて、所謂『ヘンなノリ』になっていたんでしょうねぇ……。
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「最後は意外な形となりましたが、ついに鍵が3つ集まりました。『黒の繭』――魔王ダーズンのもとに行けますね」
「そうですね。集めた鍵は、どう使うのでしょうね……?」
「それも、書いてはいませんでしたね。とりあえず全部出してみましょうか」
収納用の魔法陣を出して手を突っ込み、ガサゴソとなかを探って、緑色の鍵と青色の鍵を取り出した。
赤、青、緑。
どうでもいいことかもしれないけれど、光の三原色ね。
「………………待ってみても、なにも起きませんね。もう少し時間が必要なのでしょうか……?」
「もしくは、合わせることで何かが起き始めるのかもしれませんね。色々試してみましょう」
今はなんとなく、右手で緑と青の鍵、左手で赤の鍵を持っていた。そこで赤の鍵も右手で持つようにして――
「あっ!! クリスチアーヌ様っ!」
「はい。合わせる、が正解だったようですね」
――右手に3つ鍵が揃った瞬間、だった。それぞれの鍵がそれぞれの色に輝き出して、ふわりと宙に浮くようになった。
((へぇ、そんな風になるの。ここからどう動くのかしら?))
興味津々で眺めていると宙に浮いた3つの鍵は磁石のように引き寄せられていって、融合。3本の鍵は大きな――1メートルはある特大の鍵となって、くるりと縦と横方向に一回転ずつしたしたあと、グサリと虚空に突き刺さった。
((鍵穴に刺さった鍵、というところね。と、いうことは))
ガチャリ。虚空に突き刺さった鍵は右方向に90度周り、そうすると解錠された時のような音が辺りに響き渡った。
そして。
それを切っ掛けにして――
「っ! 扉だ!!」
――わたし達の目の前に、高さ3メートル程度の扉が出現したのだった。
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