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第3話 マルロッテルの森 クリスチアーヌ視点(2)
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「さすがです! これは……石碑、ですかね……?」
「そうですね。そのようです」
不自然に盛り上がっている地面を魔法で掘ってみたら、30センチくらいはある石が出てきた。人工的に形が整えられているし表面には不思議な文字がビッシリ彫られているから、そう判断していいわね。
「地中にあったものが、地上に出ようとしていた……? クリスチアーヌ様が先程仰っていた、主の影響……。なのでしょうか……?」
「その可能性が、高いと思います。さて、どうすれば眷属に会えるのでしょうね?」
あの書物に、その方法は記されていなかった。自分で見つけないといけないのは、面倒だわ。
「定番なのは、合言葉ですよね。ただ……う~ん、見当もつかないな。クリスチアーヌ様、表面に彫られている文字の解読は可能でしょうか?」
「残念ながら、解読系統の魔法はありません。必要な機会がなかったですし、その手のことに興味もありませんでしたから」
自分に必要なもの&使って面白そうと感じたものしか、わたしは創らなかった。『役に立ちそうなものなんだし創っておきなさいよ』と自分自身にツッコみたくなるけれど、まあ今更言ってもしょうがない。
「…………手当たり次第に声を出してみるしか――……よく考えてみたら、眷属を造ったのは魔王ダーズン。この世界の生き物ではありません。合言葉だったとしても、この国の言語は使われていませんよね」
「そうですね。魔王がどこから来たか分からない以上は特定不能ですし、そうですね。とりあえず割ってみましょうか」
「割るっ!? そんなことをして大丈夫なのですか!?」
「先ほど言ったように内側は別次元に隔離されている可能性が高いですし、壊れる、中から出てくる――という流れは、同じくこの手のものの定番なのですよ。もし意味がなければ元に戻すこともできますし、やってみましょう」
わたしのオリジナル魔法の中に、『修復回帰(しゅうふくかいき)』というものがある。これは物体を『1分前の状態に戻せる』――起きた出来事を完全に『なかった』ことにできるから、なにも問題はない。
「この石碑、強度はそこらへんの石と大差ないみたいですね。そこに立てて、剣の腹で叩いてみましょうか」
「些細なことですが、出番をもらえて嬉しいです。叩く場所に指定はありますか?」
「どこでも構いませんよ。お好きなようにやってください」
「了解です。では…………はっ!」
そういえば属性を付与したままだった剣が振り上げられ、勢いよく振り下ろされる。真白に輝く剣は、高速で宙を切り裂きながら石碑へと向かい――
「お見事です」
――軽々と石碑を真っ二つにした。
「……どう、でしょうかね……? これが正解、なのでしょうか……?」
「…………………………ビンゴ。正解だったみたいですよ」
真っ二つになった石碑が細かく振動を始め、やがて真下に緑色の魔法陣が展開された。どうやらあの魔法陣から、眷属ってのが出てくるみたいね。
「魔王が自身の力の一部を使って生み出した、化け物……。なにが出てくるんだ……?」
「姿かたちや能力は創造主が設定できる、つまりセンスが見えますね。いったい、どんな人外が現れるのでしょうね?」
こんな時だけど魔王のセンスが気になってしまい、内心ちょっぴり楽しみにしながらその時を待つ。
わたしたちの前に魔法陣が出現してから、10秒くらい経ったかしらね。
距離を取って様子を見守っていると、突然魔法陣が同色の激しい光を放ち始め――
「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル……!!」
――体長10メートルはある、巨大な熊が現れたのだった。
「そうですね。そのようです」
不自然に盛り上がっている地面を魔法で掘ってみたら、30センチくらいはある石が出てきた。人工的に形が整えられているし表面には不思議な文字がビッシリ彫られているから、そう判断していいわね。
「地中にあったものが、地上に出ようとしていた……? クリスチアーヌ様が先程仰っていた、主の影響……。なのでしょうか……?」
「その可能性が、高いと思います。さて、どうすれば眷属に会えるのでしょうね?」
あの書物に、その方法は記されていなかった。自分で見つけないといけないのは、面倒だわ。
「定番なのは、合言葉ですよね。ただ……う~ん、見当もつかないな。クリスチアーヌ様、表面に彫られている文字の解読は可能でしょうか?」
「残念ながら、解読系統の魔法はありません。必要な機会がなかったですし、その手のことに興味もありませんでしたから」
自分に必要なもの&使って面白そうと感じたものしか、わたしは創らなかった。『役に立ちそうなものなんだし創っておきなさいよ』と自分自身にツッコみたくなるけれど、まあ今更言ってもしょうがない。
「…………手当たり次第に声を出してみるしか――……よく考えてみたら、眷属を造ったのは魔王ダーズン。この世界の生き物ではありません。合言葉だったとしても、この国の言語は使われていませんよね」
「そうですね。魔王がどこから来たか分からない以上は特定不能ですし、そうですね。とりあえず割ってみましょうか」
「割るっ!? そんなことをして大丈夫なのですか!?」
「先ほど言ったように内側は別次元に隔離されている可能性が高いですし、壊れる、中から出てくる――という流れは、同じくこの手のものの定番なのですよ。もし意味がなければ元に戻すこともできますし、やってみましょう」
わたしのオリジナル魔法の中に、『修復回帰(しゅうふくかいき)』というものがある。これは物体を『1分前の状態に戻せる』――起きた出来事を完全に『なかった』ことにできるから、なにも問題はない。
「この石碑、強度はそこらへんの石と大差ないみたいですね。そこに立てて、剣の腹で叩いてみましょうか」
「些細なことですが、出番をもらえて嬉しいです。叩く場所に指定はありますか?」
「どこでも構いませんよ。お好きなようにやってください」
「了解です。では…………はっ!」
そういえば属性を付与したままだった剣が振り上げられ、勢いよく振り下ろされる。真白に輝く剣は、高速で宙を切り裂きながら石碑へと向かい――
「お見事です」
――軽々と石碑を真っ二つにした。
「……どう、でしょうかね……? これが正解、なのでしょうか……?」
「…………………………ビンゴ。正解だったみたいですよ」
真っ二つになった石碑が細かく振動を始め、やがて真下に緑色の魔法陣が展開された。どうやらあの魔法陣から、眷属ってのが出てくるみたいね。
「魔王が自身の力の一部を使って生み出した、化け物……。なにが出てくるんだ……?」
「姿かたちや能力は創造主が設定できる、つまりセンスが見えますね。いったい、どんな人外が現れるのでしょうね?」
こんな時だけど魔王のセンスが気になってしまい、内心ちょっぴり楽しみにしながらその時を待つ。
わたしたちの前に魔法陣が出現してから、10秒くらい経ったかしらね。
距離を取って様子を見守っていると、突然魔法陣が同色の激しい光を放ち始め――
「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル……!!」
――体長10メートルはある、巨大な熊が現れたのだった。
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