上 下
17 / 24

第12話 確信する妹、そして ソフィー視点(2)

しおりを挟む
「もうソフィーったらぁ、うっかりさんなのねぇ。すぐの解除が無理なことは、貴方も知っているはずよ?」
「え? え……? どういう、こと……?」

 固まっていたわたしを、さらに大きな戸惑いが襲ってくる。
 すぐの解除は無理? だったらいずれ解除できる? でも、それをわたしも知っている?

「な、なに言ってるの……? わたし、そんなの知らない……っ。適当なコト言わないで――っっ! ち、違う……。そう、だ………」


『なのでお母様に協力してもらって手に入れた、魅了を実行。その証拠は隠滅したし、魅了は形を持たないもの。時間経過以外で解けないどうやっても解けないもの』


 あの日の自分の台詞が、独りでに蘇ってきた。
 そうだ……。そうだった……。『十年経つまでは絶対解けない』……。『十年経つと解けてしまうから、定期的に上書きしないといけない』……。そう、お母様に教わっていたんだった…………。

「はい、お話の時間はお仕舞よ。……愛しのソフィー。ちゃんと教えてあげたのだから、ご褒美にもっとキスをさせて頂戴。貴方を愛させてちょうだぁぃ」
「っっっっっ!」

 ねっとりとした視線が気色悪くて、一瞬にして鳥肌が立ってしまうっ。
 無理無理無理! 挨拶のキスはいいけどっ、こんなキスなんて嫌! こんな形で愛されるのも嫌!

「はあ、はあ、はあ……っ。はあ……‼ ソフィー、ねぇソフィーっ。お母さんの愛をしっかり感じたら、貴方の考えもがらりと変わるはずよぉぉ」
「ひぃぃぃぃぃっ‼」
「さあ、さぁっ! あつ~いキスをさせて頂戴……っ。至る所にた~っぷりと、させてちょうだぁぃ……っっ。これからお母さんが丁寧にたっぷりと、貴方の常識を塗り替えてあげるわぁ――」
「いやあああああああああああ!! たっ、助けてっ!! 助けてお父様ぁぁあああああああああああ!!」

 魅了を打ち明けたら大変なコトになっちゃうけどっ、お母様がこうなった以上バレるのは確定なんだものっ。
 確かお父様は雑務があるからって、執務室にいるはずっ! だからわたしは傍にあったピローを投げつけて時間を稼ぎ、部屋を飛び出した!



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者に嫌われた伯爵令嬢は努力を怠らなかった

有川カナデ
恋愛
オリヴィア・ブレイジャー伯爵令嬢は、未来の公爵夫人を夢見て日々努力を重ねていた。その努力の方向が若干捻れていた頃、最愛の婚約者の口から拒絶の言葉を聞く。 何もかもが無駄だったと嘆く彼女の前に現れた、平民のルーカス。彼の助言のもと、彼女は変わる決意をする。 諸々ご都合主義、気軽に読んでください。数話で完結予定です。

旦那様、離婚しましょう

榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。 手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。 ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。 なので邪魔者は消えさせてもらいますね *『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ 本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......

夫には愛人がいたみたいです

杉本凪咲
恋愛
彼女は開口一番に言った。 私の夫の愛人だと。

【完結】婚約破棄!! 

❄️冬は つとめて
恋愛
国王主催の卒業生の祝賀会で、この国の王太子が婚約破棄の暴挙に出た。会場内で繰り広げられる婚約破棄の場に、王と王妃が現れようとしていた。

王太子から婚約破棄されて三年、今更何の用ですか?!

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「やはり君しかいない、君こそ私が真に愛する人だ、どうか戻って来て欲しい」ある日突然ユリアの営む薬屋にリンド王国の王太子イェルクがやってきてよりを戻したいという。  だが今更そんな身勝手な話はない。  婚約者だったユリアを裏切り、不義密通していたユリアの妹と謀ってユリアを国外追放したのはイェルク自身なのっだ。  それに今のユリアは一緒についてきてくれた守護騎士ケヴィンと結婚して、妊娠までしているのだ!

虐げられるのは嫌なので、モブ令嬢を目指します!

八代奏多
恋愛
 伯爵令嬢の私、リリアーナ・クライシスはその過酷さに言葉を失った。  社交界がこんなに酷いものとは思わなかったのだから。  あんな痛々しい姿になるなんて、きっと耐えられない。  だから、虐められないために誰の目にも止まらないようにしようと思う。  ーー誰の目にも止まらなければ虐められないはずだから!  ……そう思っていたのに、いつの間にかお友達が増えて、ヒロインみたいになっていた。  こんなはずじゃなかったのに、どうしてこうなったのーー!? ※小説家になろう様・カクヨム様にも投稿しています。

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください

迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。 アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。 断るに断れない状況での婚姻の申し込み。 仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。 優しい人。 貞節と名高い人。 一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。 細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。 私も愛しております。 そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。 「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」 そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。 優しかったアナタは幻ですか? どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。

無実の罪で投獄されました。が、そこで王子に見初められました。

百谷シカ
恋愛
伯爵令嬢シエラだったのは今朝までの話。 継母アレハンドリナに無実の罪を着せられて、今は無力な囚人となった。 婚約関係にあるベナビデス伯爵家から、宝石を盗んだんですって。私。 そんなわけないのに、問答無用で婚約破棄されてしまうし。 「お父様、早く帰ってきて……」 母の死後、すっかり旅行という名の現実逃避に嵌って留守がちな父。 年頃の私には女親が必要だって言って再婚して、その結果がこれ。 「ん? ちょっとそこのお嬢さん、顔を見せなさい」 牢獄で檻の向こうから話しかけてきた相手。 それは王位継承者である第一王子エミリオ殿下だった。 「君が盗みを? そんなはずない。出て来なさい」 少し高圧的な、強面のエミリオ殿下。 だけど、そこから私への溺愛ライフが始まった……

処理中です...