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第11話 異変の理由 俯瞰視点
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「ルロアが用意してくれたチャンス。失敗は許されないね」
中庭で封筒を受け取り、シュヴァリエ侯爵家邸へと戻ったレアンドル。彼は自室のデスクに向かっており、目の前には計6本の毛髪がありました。
この髪の毛は、彼女の母セリニアのもの。レアンドルは、一週間前――魅了事件が起きた日に、
「ソフィーは懲りずに毛髪を狙い、母親はそれを支援する。そこでそれを活かし、お仕置きをしつつ罪を明るみにさせようと思う」
ルロアにアイディアを説明し、セリニアの毛髪の採取を依頼していたのです。
「まずは――。この髪を、茶色に染める」
セリニアの髪はソフィーと同じく、金色。そこでブラウンの染料を用意し、着色。全6本を塗って乾燥させ、それらを吟味します。
そうして最も自分の毛髪に近いものを選び、完成したものをケースに入れて保管。そして6日後――
「ルロアは、いない? ……しまった、一時間早く訪ねてしまったらしい」
「でしたらシュヴァリエ様、わたしのお部屋――お姉様の婚約者なのですから、そこではなく応接室がよろしいですね。よろしければ、そちらでお茶を致しませんか?」
――ソフィーに採取作戦を行わせ、その際にワザと偽装した毛髪を落としておきます。そうすればソフィーは、
((ふふふふふっ。日頃の行いが良いからね。何もしなくても、髪の毛が手に入っちゃったっ))
勘違いをして、魅了の儀式を実行。これによってソフィーは母セリニアに魅了を施してしまい、やがてレアンドルでさえも予想していなかった『おまけ』を生み出します。
――間近で魅了を実行――。
――レアンドルの時とは真逆――。
嫌っていたことなどにより効果が激減した。それとは反対に、元々溺愛していたことによって魅了の効果は激増。更に激しい、居ても経ってもいられなくなるような愛情を、即座に抱くようになってしまっていたのでした。
中庭で封筒を受け取り、シュヴァリエ侯爵家邸へと戻ったレアンドル。彼は自室のデスクに向かっており、目の前には計6本の毛髪がありました。
この髪の毛は、彼女の母セリニアのもの。レアンドルは、一週間前――魅了事件が起きた日に、
「ソフィーは懲りずに毛髪を狙い、母親はそれを支援する。そこでそれを活かし、お仕置きをしつつ罪を明るみにさせようと思う」
ルロアにアイディアを説明し、セリニアの毛髪の採取を依頼していたのです。
「まずは――。この髪を、茶色に染める」
セリニアの髪はソフィーと同じく、金色。そこでブラウンの染料を用意し、着色。全6本を塗って乾燥させ、それらを吟味します。
そうして最も自分の毛髪に近いものを選び、完成したものをケースに入れて保管。そして6日後――
「ルロアは、いない? ……しまった、一時間早く訪ねてしまったらしい」
「でしたらシュヴァリエ様、わたしのお部屋――お姉様の婚約者なのですから、そこではなく応接室がよろしいですね。よろしければ、そちらでお茶を致しませんか?」
――ソフィーに採取作戦を行わせ、その際にワザと偽装した毛髪を落としておきます。そうすればソフィーは、
((ふふふふふっ。日頃の行いが良いからね。何もしなくても、髪の毛が手に入っちゃったっ))
勘違いをして、魅了の儀式を実行。これによってソフィーは母セリニアに魅了を施してしまい、やがてレアンドルでさえも予想していなかった『おまけ』を生み出します。
――間近で魅了を実行――。
――レアンドルの時とは真逆――。
嫌っていたことなどにより効果が激減した。それとは反対に、元々溺愛していたことによって魅了の効果は激増。更に激しい、居ても経ってもいられなくなるような愛情を、即座に抱くようになってしまっていたのでした。
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