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第11話 今日は返って来る日 ~ジャゾンの場合 前編~ ジャゾン視点(1)

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「終わりました! これからどうすればよいのでしょうか!?」

 5か所目での――最後の自白が終わったあと。俺は演説場所を急いで離れ、街の外れに止まっている馬車に――おふたりが待機されている馬車へと戻った。

「ご指示を受けた内容は全て言い広めました。一言一句間違えてはおりません!」
「物陰から見ていたよ。これなら近々、ラクライス家、オラワサル家、ミウサンサ家が騒がしくなるだろうね」
「はい! 大騒ぎになると思います!」

 俺を裏切りやがったシビーユ達。俺を見捨てやがった父達。困った時に何の役にも立たないゴミ達。ヤツら全員に、一泡も二泡も吹かせられる。

「シルヴィ様とエクトル様のお役に立てて何よりでございます。他にもご命令がございましたら、なんなりとお申し付けください。粉骨砕身で働かせていただきます」

 関係者への攻撃が成功確実となり、コイツらは機嫌がよくなっているはず。ここで畳みかけて、少しでも罰を軽くする。
 今の俺は功労者でもあって、それも夢じゃない!

「自白を聴いている時に、もう一つ命令が浮かんでいるんだ。次はそれをやってもらう」
「喜んで! どうすればよろしいのでしょうかっ?」
「現場についてから説明した方がいい。……向かってくれ」

 エクトルが御者に指示を出し、俺達を乗せた馬車はどこかを目指して走り出す。
 カーテンを閉められているので外の景色は分からないが、真っすぐ進んでいるから進路は北。
 途中で何度か右折や左折があったものの、進行方向は変わっていない。馬車はそのまま……1時間半ほど走り続け、やがて止まった。

「着いたみたいだね。ジャゾン、降りろ」
「はいっ!」

 エクトルがシルヴィをエスコートして降りるのを待ち、最後に俺が降りる。そうして俺は――

「え……?」

 ――エクトルとシルヴィに続いて地面に降り、すぐに間抜けな声を上げてしまう。

「ここは…………森……?」

 俺達が出会ったあの森とは違う、人気(ひとけ)が全くないどんよりとした森。目的地は少々――いや、かなり不気味な場所だった。
 こんなところで、なにをさせるつもりなんだ……?
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