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5話(10)
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「ごは……っ。く――」
「君に、いいことを教えてやろう。熟達者は皆等しく、好機を逃しはしない」
ヤツが右腕を引くと滑車のように左腕が伸びてきて、態勢を立て直そうとしていた俺はレバーブローを受けてしまう。
プロボクサーであっても辛い、鍛え難い箇所。急所の一つを的確に打ってきやがった。
「がぁぁっ! うぐ……っ」
「もう一つ、君に教えておこうか。熟達者になるほど、『これで終わったな』などと過信はしないぞっ!」
身体をクの字に折っていると前髪を掴まれ、空いていた右手でアッパー気味のストレートを連発。連続で容赦なく、ボディーに重い拳が打ち込まれる。
「がはっ。がはぁっ! ごはっ!!」
「一度戦うと決めたら、その者は敵。倒すべき相手。苦しもうが血を吐こうが、一切慈悲を向けはしないぞっ!」
今度は、膝蹴り。ただでさえボロボロな腹部を膝が襲い、一瞬意識が飛ぶ。
「ぅ……。ぁ……。く、くそっ!」
意地で放った、反撃の突き。ヤツの顔面を狙ったスコップは手刀で叩き落され、逆にこちらの顔面にパンチが入る。
「ぐぶっ」
唇を右手の第二関節達が苛み、クチッ、ゴリッ――。嫌な音が鳴って唇が激しく切れ、前歯が折れた。
「……手応え、あり。花島優陽、最後の仕上げだ!!」
ヤツは腰を落とし、深く呼吸する。
こいつは…………八極拳か、太極拳の技だったか。四空は体内で気を練って力を蓄積し、左右の手を同時に突き出した。
「我が奥義を受けろっ! これでおわりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その一撃は恐らく、内側の破壊に特化した一撃。二つの掌が腹に当たった途端、内臓に未曽有の衝撃が走って吹き飛び――。
気が付くと俺は、血だまりの中でうつ伏せになっていた。
「君に、いいことを教えてやろう。熟達者は皆等しく、好機を逃しはしない」
ヤツが右腕を引くと滑車のように左腕が伸びてきて、態勢を立て直そうとしていた俺はレバーブローを受けてしまう。
プロボクサーであっても辛い、鍛え難い箇所。急所の一つを的確に打ってきやがった。
「がぁぁっ! うぐ……っ」
「もう一つ、君に教えておこうか。熟達者になるほど、『これで終わったな』などと過信はしないぞっ!」
身体をクの字に折っていると前髪を掴まれ、空いていた右手でアッパー気味のストレートを連発。連続で容赦なく、ボディーに重い拳が打ち込まれる。
「がはっ。がはぁっ! ごはっ!!」
「一度戦うと決めたら、その者は敵。倒すべき相手。苦しもうが血を吐こうが、一切慈悲を向けはしないぞっ!」
今度は、膝蹴り。ただでさえボロボロな腹部を膝が襲い、一瞬意識が飛ぶ。
「ぅ……。ぁ……。く、くそっ!」
意地で放った、反撃の突き。ヤツの顔面を狙ったスコップは手刀で叩き落され、逆にこちらの顔面にパンチが入る。
「ぐぶっ」
唇を右手の第二関節達が苛み、クチッ、ゴリッ――。嫌な音が鳴って唇が激しく切れ、前歯が折れた。
「……手応え、あり。花島優陽、最後の仕上げだ!!」
ヤツは腰を落とし、深く呼吸する。
こいつは…………八極拳か、太極拳の技だったか。四空は体内で気を練って力を蓄積し、左右の手を同時に突き出した。
「我が奥義を受けろっ! これでおわりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その一撃は恐らく、内側の破壊に特化した一撃。二つの掌が腹に当たった途端、内臓に未曽有の衝撃が走って吹き飛び――。
気が付くと俺は、血だまりの中でうつ伏せになっていた。
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