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2話(18)

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「羽蔵……? これは、なんじゃ……?」
「それは、成仏している証っスよ。無事この世に留まる理由がなくなったんで、上に行くんです」

 あんな冗談を、出せるようになったんだ。あの怨みが、この世に縛り付ける鎖が、残っているはずがない。

「上…………あの世か。は、はくら……っ」
「……遠田くん。ボクは、あっちの世界でも写真を撮るよ」

 悲しいけど嬉しくもある、さよならの始まり。彼は指鉄砲のようにした左右の手を合わせ、フレームを作った。

「今度は、君を唸らせる作品を作る。遠田くんが寿命を全うした時はあっちで同窓会の続きをやって、また感想を聞かせてよ」
「あ、ああっ、ああ必ず見るっ! じゃから羽蔵っ、その日まで儂を忘れず待っていてくれっっ!」
「ボクは昔の君と違って、約束は守る男だ。ついでに案内をできるよう、あの世の土地勘を磨いておくよ」
「羽蔵の写真と案内、楽しみにしとるっ。あ、そのっ、儂はなっ! お前と仲直りできて、とっても嬉しいぞ!」
「うん、こちらも同じ気持ちだよ。……じゃあね、バイバイ。朋友の遠田くん」

 羽蔵さんは顔を綻ばせて手を振り、光が弾けて全身が霧散。きっと、きっと人生を最高の形で締めくくり、新たな世界へと旅立っていった。

「は、くら……っ。今の儂はお前の『朋友』で、ちゃんと約束を守るからな……っ。あの時儂のせいでできなかった同好会を、やろう……っっ」

 彼は多くの涙を零し、茜色に染まる空を見上げる。
 今はおりしも、逢魔が刻。あの世とこの世が繋がる時間帯だから、その言葉はあの人に届いただろう。

「…………羽蔵、今から同窓会の内容を考えておく。いい写真を期待しておるぞ――……? そこに浮いておる、光の玉はなんじゃ……?」

 羽蔵さんに集中していて、気が付いていなかったらしい。彼は羽蔵さんから放出された光が集まった球体を、不思議そうに見つめた。
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