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後編 自業自得~1年後、フィリップに起きたこと~ フィリップ&俯瞰視点(3)

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((………………こ、こうなったら……。別の方法で、攻めるしかない。ミレスの悪評を、ばら撒こう……!))))

 勘違いによって撥ね付けられてから、3時間後。朝食を抜いて必死になって思考を巡らせ、ようやく一つの案が浮かび上がった。
 世間での評判が悪くなれば、父上も重い腰を上げる。この家から、ミレスを切り離さざるを得ない状況を作ればいいんだ……!

((ヤツは男爵家の生まれで、侯爵家は圧倒的な格上。身分が急上昇している))

 そこで、『次期侯爵夫人の地位を使い、威張っている』『格下の令嬢に陰で嫌がらせをしていた』などなど。こういったものを、たっぷりと広める。
 貴族界にはこんな性質を持つ人間が意外といるし、現実味のある噂だからな。あっという間に浸透して、世間のミレスに対する認識は変わってしまう……!!

((催眠術にかかったフリをして過ごし、隙を見て暗躍する。……ふ、ふふふ。完璧、完璧だ……!!))

 念のため1から振り返ってみても、どこにも穴はない。勝利が確定したと言っても過言ではない、名案中の名案だ。

((ミレス……! 好き放題できるのも、あと少しだぞ……っ))

 ここからは、反撃、逆襲の時だ。
 俺を翻弄した罪は、重いぞ……!!


 〇〇


((あらぁ? フィリップ様の様子が、いつもとちょっぴり違いますねぇ?))

 フィリップが正気に戻って、僅か4時間後のこと。この日初めて彼の姿を見たミレスは、首を傾げました。
 ミレスは、重い愛を持つ女性。そのため愛する人の言動を、隅から隅まで把握しており――。催眠術にかかっているフリをしていると、簡単に見抜いてしまったのです。

((そっかぁ、そうなのですねぇ。どうやらわたしの悪評を広めて、追い出そうとしているみたいですねぇ))

 そしてフィリップの企みをあっさりと見破り、「ふふふふふ~」。にっっこりと、口元を緩めました。

((やっぱりぃ、他の女性に興味が出たのでしょうかぁ~? だとしたら、お約束違反ですねぇ。このままでは、いけませんねぇ))

 こくり、こくり。大きく2度頷いたミレスは義父パスカルのもとへと向かい、外出の許可を得てユレスト邸へと――かつて過ごしていた自室へと戻ります。
 そして、

((簡単なことですよねぇ。解けてしまったのなら、もう一度かければいいだけですよねぇ))

 ミレスは、小瓶を2つ懐に仕舞って――

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