29 / 37
後編 自業自得~1年後、フィリップに起きたこと~ フィリップ&俯瞰視点(3)
しおりを挟む
((………………こ、こうなったら……。別の方法で、攻めるしかない。ミレスの悪評を、ばら撒こう……!))))
勘違いによって撥ね付けられてから、3時間後。朝食を抜いて必死になって思考を巡らせ、ようやく一つの案が浮かび上がった。
世間での評判が悪くなれば、父上も重い腰を上げる。この家から、ミレスを切り離さざるを得ない状況を作ればいいんだ……!
((ヤツは男爵家の生まれで、侯爵家は圧倒的な格上。身分が急上昇している))
そこで、『次期侯爵夫人の地位を使い、威張っている』『格下の令嬢に陰で嫌がらせをしていた』などなど。こういったものを、たっぷりと広める。
貴族界にはこんな性質を持つ人間が意外といるし、現実味のある噂だからな。あっという間に浸透して、世間のミレスに対する認識は変わってしまう……!!
((催眠術にかかったフリをして過ごし、隙を見て暗躍する。……ふ、ふふふ。完璧、完璧だ……!!))
念のため1から振り返ってみても、どこにも穴はない。勝利が確定したと言っても過言ではない、名案中の名案だ。
((ミレス……! 好き放題できるのも、あと少しだぞ……っ))
ここからは、反撃、逆襲の時だ。
俺を翻弄した罪は、重いぞ……!!
〇〇
((あらぁ? フィリップ様の様子が、いつもとちょっぴり違いますねぇ?))
フィリップが正気に戻って、僅か4時間後のこと。この日初めて彼の姿を見たミレスは、首を傾げました。
ミレスは、重い愛を持つ女性。そのため愛する人の言動を、隅から隅まで把握しており――。催眠術にかかっているフリをしていると、簡単に見抜いてしまったのです。
((そっかぁ、そうなのですねぇ。どうやらわたしの悪評を広めて、追い出そうとしているみたいですねぇ))
そしてフィリップの企みをあっさりと見破り、「ふふふふふ~」。にっっこりと、口元を緩めました。
((やっぱりぃ、他の女性に興味が出たのでしょうかぁ~? だとしたら、お約束違反ですねぇ。このままでは、いけませんねぇ))
こくり、こくり。大きく2度頷いたミレスは義父パスカルのもとへと向かい、外出の許可を得てユレスト邸へと――かつて過ごしていた自室へと戻ります。
そして、
((簡単なことですよねぇ。解けてしまったのなら、もう一度かければいいだけですよねぇ))
ミレスは、小瓶を2つ懐に仕舞って――
勘違いによって撥ね付けられてから、3時間後。朝食を抜いて必死になって思考を巡らせ、ようやく一つの案が浮かび上がった。
世間での評判が悪くなれば、父上も重い腰を上げる。この家から、ミレスを切り離さざるを得ない状況を作ればいいんだ……!
((ヤツは男爵家の生まれで、侯爵家は圧倒的な格上。身分が急上昇している))
そこで、『次期侯爵夫人の地位を使い、威張っている』『格下の令嬢に陰で嫌がらせをしていた』などなど。こういったものを、たっぷりと広める。
貴族界にはこんな性質を持つ人間が意外といるし、現実味のある噂だからな。あっという間に浸透して、世間のミレスに対する認識は変わってしまう……!!
((催眠術にかかったフリをして過ごし、隙を見て暗躍する。……ふ、ふふふ。完璧、完璧だ……!!))
念のため1から振り返ってみても、どこにも穴はない。勝利が確定したと言っても過言ではない、名案中の名案だ。
((ミレス……! 好き放題できるのも、あと少しだぞ……っ))
ここからは、反撃、逆襲の時だ。
俺を翻弄した罪は、重いぞ……!!
〇〇
((あらぁ? フィリップ様の様子が、いつもとちょっぴり違いますねぇ?))
フィリップが正気に戻って、僅か4時間後のこと。この日初めて彼の姿を見たミレスは、首を傾げました。
ミレスは、重い愛を持つ女性。そのため愛する人の言動を、隅から隅まで把握しており――。催眠術にかかっているフリをしていると、簡単に見抜いてしまったのです。
((そっかぁ、そうなのですねぇ。どうやらわたしの悪評を広めて、追い出そうとしているみたいですねぇ))
そしてフィリップの企みをあっさりと見破り、「ふふふふふ~」。にっっこりと、口元を緩めました。
((やっぱりぃ、他の女性に興味が出たのでしょうかぁ~? だとしたら、お約束違反ですねぇ。このままでは、いけませんねぇ))
こくり、こくり。大きく2度頷いたミレスは義父パスカルのもとへと向かい、外出の許可を得てユレスト邸へと――かつて過ごしていた自室へと戻ります。
そして、
((簡単なことですよねぇ。解けてしまったのなら、もう一度かければいいだけですよねぇ))
ミレスは、小瓶を2つ懐に仕舞って――
25
お気に入りに追加
2,940
あなたにおすすめの小説
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
【完結】私よりも妹が大事なんですか?~捨てる親あれば拾う王子あり~
如月ぐるぐる
恋愛
「お姉ちゃんのお洋服かわいいね、私の方が似合うと思うの」
昔から妹はこうだった。
両親も私より妹の方が可愛いみたいだし、いい加減イジメにも飽き飽きしたわ!
学園を卒業したら婚約者と結婚して、さっさと家を出てやるんだから!
「え? 婚約……破棄ですか?」
「すまない、僕は君の妹と結婚する事にしたんだ」
結婚の約束を信じて待っていたのに、帰ってきた幼馴染は私ではなく義妹を選びました。
田太 優
恋愛
将来を約束した幼馴染と離れ離れになったけど、私はずっと信じていた。
やがて幼馴染が帰ってきて、信じられない姿を見た。
幼馴染に抱きつく義妹。
幼馴染は私ではなく義妹と結婚すると告げた。
信じて待っていた私は裏切られた。
【完結】裏切ったあなたを許さない
紫崎 藍華
恋愛
ジョナスはスザンナの婚約者だ。
そのジョナスがスザンナの妹のセレナとの婚約を望んでいると親から告げられた。
それは決定事項であるため婚約は解消され、それだけなく二人の邪魔になるからと領地から追放すると告げられた。
そこにセレナの意向が働いていることは間違いなく、スザンナはセレナに人生を翻弄されるのだった。
もううんざりですので、実家に帰らせていただきます
ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」
伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来ませんでした。平民女性と駆け落ちしたですって!?
田太 優
恋愛
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来なかった。
そして知らされた衝撃の事実。
婚約者は駆け落ちしたのだ。
最初から意中の相手がいたから私は大切にされなかったのだろう。
その理由が判明して納得できた。
駆け落ちされたのだから婚約破棄して慰謝料を請求しないと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる