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エピローグ 1年後~2人はその後~ 俯瞰視点(2)
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「――。――――。――――。――――――。――――――――」
人間には聞き取れない特殊な言語で構成された、精霊化の文言。セレスティンがソレを唱え始めるとラシェルの足元に七色の魔法陣が輝き、詠唱が終わると同時に陣は強く強く発光します。
まるで太陽が間近にあるような、大きく強い光。そんな光が収まるとラシェルは光の繭に包まれており、
「――――。――――」
再び特殊な言語をセレスティンが紡ぐと、繭は蒸気のようになって消え去り、そうすると再びラシェルが――神聖なるオーラを纏ってはいるものの、先程までと全く同じ姿をしたラシェルが現れました。
――精霊化――。
それは新たな種へと変化させる儀式ではありますが、外見やあらゆる生命活動に変化が生じることはありません。
今後ラシェルは精霊界では精霊王妃として、人間界ではターザッカル伯爵家の当主として、これまでと変わらない毎日を過ごすことになるのです。
「終わったよ、ラシェル」
「…………ありがとうございます。…………これで私は末永く、貴方様と共に歩めるのですね」
「ああ、そうだよ。ラシェル、ありがとうと言ってくれてありがとう」
長い間一緒に進めることを、嬉し涙を流して喜んでくれる。そんな姿に喜びを感じ、目を細めながら感謝を伝えて――。
そうしていると2人の身体が自然と近づき、やがて2人は見つめ合いました。
「先ほど、いただいたばかりですが……。私は今、精霊ですので。精霊での初めてを、いただけますでしょうか?」
「もちろん。それは最高の栄誉だ」
熱を帯びた瞳に、真摯で柔らかな目線が注がれて。身体のあとは、ふたつの唇の距離が縮まってゆき――
「ラシェル。愛している」
「セレスティン様、お慕いしております」
キスをして――。
2人は声と動作、感触で、お互いの想いを感じ合ったのでした――。
人間には聞き取れない特殊な言語で構成された、精霊化の文言。セレスティンがソレを唱え始めるとラシェルの足元に七色の魔法陣が輝き、詠唱が終わると同時に陣は強く強く発光します。
まるで太陽が間近にあるような、大きく強い光。そんな光が収まるとラシェルは光の繭に包まれており、
「――――。――――」
再び特殊な言語をセレスティンが紡ぐと、繭は蒸気のようになって消え去り、そうすると再びラシェルが――神聖なるオーラを纏ってはいるものの、先程までと全く同じ姿をしたラシェルが現れました。
――精霊化――。
それは新たな種へと変化させる儀式ではありますが、外見やあらゆる生命活動に変化が生じることはありません。
今後ラシェルは精霊界では精霊王妃として、人間界ではターザッカル伯爵家の当主として、これまでと変わらない毎日を過ごすことになるのです。
「終わったよ、ラシェル」
「…………ありがとうございます。…………これで私は末永く、貴方様と共に歩めるのですね」
「ああ、そうだよ。ラシェル、ありがとうと言ってくれてありがとう」
長い間一緒に進めることを、嬉し涙を流して喜んでくれる。そんな姿に喜びを感じ、目を細めながら感謝を伝えて――。
そうしていると2人の身体が自然と近づき、やがて2人は見つめ合いました。
「先ほど、いただいたばかりですが……。私は今、精霊ですので。精霊での初めてを、いただけますでしょうか?」
「もちろん。それは最高の栄誉だ」
熱を帯びた瞳に、真摯で柔らかな目線が注がれて。身体のあとは、ふたつの唇の距離が縮まってゆき――
「ラシェル。愛している」
「セレスティン様、お慕いしております」
キスをして――。
2人は声と動作、感触で、お互いの想いを感じ合ったのでした――。
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