心を失ってしまった令嬢は、心優しい精霊王に愛される

柚木ゆず

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エピローグ 1年後~2人はその後~ 俯瞰視点(1)

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「セレ様っ、ラシェルちゃんっ! おめでとうございますっ!」
「「「「「精霊王様、ラシェル様! おめでとうございます!」」」」
「ラシェルお姉ちゃん、せいれーおーさまっ。おめでとーございますっ」
「ラシェル様、精霊王セレスティン様! おめでとうございます!!」

 セレスティンとラシェルが、ひょんなことから出会って1年後のことでした。人間界に存在するターザッカル伯爵家の領地、その中にある教会。そこでは世にも珍しい、精霊と人間による結婚式が行われていました。

 ――今回の生贄は、行方不明となった・・・・・・・・前国王の私利私欲による嘘――。
 ――現精霊王は、歴代精霊王とは正反対の考えの持ち主――。

 前国王の実弟、現国王によって、それらがすでに国中に真実が広まっています。そのため国の各地で祝福の声が上がり、『是非とも挙式に参加させていただきたい』との声が殺到しました。
 しかしながら希望者全員を受け入れられる広さはないため、ゴーチェ、精霊王の幹部10名、オレリを始めとした孤児院の関係者20名が参加し、誓いのキスを交わした2人に歓声を送っていたのです。

「皆様、ありがとうございます。……………………では、セレスティン様。お願い致します」
「ああ。分かった」

 沢山の大きな拍手が鳴り響く中。全ての儀式を終えたはずの2人は改めて向かい合い、ラシェルは静かに目を瞑りました。
 プログラムは全て終了したにもかかわらず、こうしている理由。それはこれから、もう一つのプログラムが始まるから。


 精霊化の儀式が、始まるからです。


 精霊の寿命はおよそ1000年、人の寿命は長くて100年。900年以上の差がある上に、肉体や波長などの違いにより『人』は累計1年程度しか精霊界に滞在できません。

 そんな『問題』を全て解決するべく、これからラシェルは精霊となるのです。

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