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第17話 初~返事に関して~ セレスティン視点(1)
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「貴方様に、異性として好きになっていただけるように……。努力をしても、構いませんでしょうかっ?」
不意やって来た、そんな言葉と祈るような眼差し。それらを受け止めた俺は、正直に言うと困惑していた。
((異性として…………つまりそれは、恋愛感情。恋、か……))
俺は幼少期より精霊王を尊敬し、強い憧れを抱いており、自身もそんな精霊になるべく努力を重ねてきた。精霊王の実態を知ってからは、それらの解決と廃止のために走り続けてきた。
そのため一度も恋をしたことがなく、そもそも恋愛について考えたことさえもなかったのだ。
((故に…………俺は、『愛』が理解できていない))
人としての『好き』なら分かるが、異性としての『好き』が分からない。どんな状態が『異性として好きに感じている』状態なのか、それが分からないのだ。
誰かと共に一生涯を進んでゆく、そのイメージがまるでできないのだ。
((無論それは、時間が解決してくれることだろう))
精霊は人間と同じで、恋をするし結婚もする。したがって俺もそういったものに意識を向けるようになれば、愛や恋について理解できる時が来るだろう。
((だが。俺とラシェル嬢の寿命は、10倍以上もの差がある))
俺達は、人生の長さがまるで違う。もしそうなれば問題はなくなるが、理解が間に合わなかった場合は――間に合ったとしても、そうならなかった場合は彼女の人生を無駄にしてしまう可能性が高い。
((………………恐らく。後者になる確率の方が、遥かにある))
形は違えど『新たな行動』を始めた経験があるから、よく知っている。これまでなかったことを行うと、多くの時間がかかってしまうことを。
((…………ならば、仕方がないな。そんな理由でこんな返事をするのは、申し訳ないが……。断りを――…………。ん、これは……?))
断りを入れよう。そう思っていた時だった。
俺の中で、とある出来事が起こり始めたのだった。
不意やって来た、そんな言葉と祈るような眼差し。それらを受け止めた俺は、正直に言うと困惑していた。
((異性として…………つまりそれは、恋愛感情。恋、か……))
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そのため一度も恋をしたことがなく、そもそも恋愛について考えたことさえもなかったのだ。
((故に…………俺は、『愛』が理解できていない))
人としての『好き』なら分かるが、異性としての『好き』が分からない。どんな状態が『異性として好きに感じている』状態なのか、それが分からないのだ。
誰かと共に一生涯を進んでゆく、そのイメージがまるでできないのだ。
((無論それは、時間が解決してくれることだろう))
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((…………ならば、仕方がないな。そんな理由でこんな返事をするのは、申し訳ないが……。断りを――…………。ん、これは……?))
断りを入れよう。そう思っていた時だった。
俺の中で、とある出来事が起こり始めたのだった。
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