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第13話 愚かな王の末路 俯瞰視点(3)
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「ぁ、ぁぁぁぁぁぁぁ!! うああああああああああああああああああああああっ!!」
なぜか、異形の動きが遅かったこと。それによってジスランはすんでのところで攻撃の直撃を免れ、異形達に背を向けて逃げ出し始めました。
「うああああああああああああああああああ!! ああああああああああああああああああああああああああ!!」
涙まみれになっているせいで、視界はよくない。足はもつれそうになっていて、常に転びそう。そんな状況の中ジスランは死に物狂いで体を動かし続け、
「「「「「チチチチチッ! ……チチチチチ……?」」」」」
「「「「キキキキキッ! ……キキキッツ……?」」」」
十分にも及ぶ大激走の末にかろうじて異形達を振り切り、大木の影に身を潜めました。
「よ、よかった……。あ、危なかった……。た、助かった…………」
なぜか疲労感はまったくないものの、精神的にもう限界。メンタルに大きなダメージを受けたことで独りでに腰が砕け、その場にへたり込んでしまいました。
「あんな化け物に、捕まってしまったら……。地獄が、待っていた……。逃げきれて、よかった……」
よかった。よかったっ。よかったっっ。よかったっっっ。ジスランはまるで壊れた機械のように同じ言葉を繰り返し、改めて安堵の息を吐き出しました。
「よくやったぞ、ジスラン。ヤツらは祭壇の方へと、戻っていった。お前は、やったのだ……っ! 勝ったのだ……っ! みごとっ、生をつかみ取ったのだ――」
「「「「「チチチチチ。チチチチチ」」」」」
「「「「キキキキキ。キキキキキ」」」」
「――…………。ま、まさか……」
ギギギギギ。そんな音が聞こえそうな程に固い動きで、彼は後ろを振り返ります。すると、そこには――嫌な予想が、的中。
祭壇の方へと向かったはずの異形達が、勢ぞろいしていたのでした。
なぜか、異形の動きが遅かったこと。それによってジスランはすんでのところで攻撃の直撃を免れ、異形達に背を向けて逃げ出し始めました。
「うああああああああああああああああああ!! ああああああああああああああああああああああああああ!!」
涙まみれになっているせいで、視界はよくない。足はもつれそうになっていて、常に転びそう。そんな状況の中ジスランは死に物狂いで体を動かし続け、
「「「「「チチチチチッ! ……チチチチチ……?」」」」」
「「「「キキキキキッ! ……キキキッツ……?」」」」
十分にも及ぶ大激走の末にかろうじて異形達を振り切り、大木の影に身を潜めました。
「よ、よかった……。あ、危なかった……。た、助かった…………」
なぜか疲労感はまったくないものの、精神的にもう限界。メンタルに大きなダメージを受けたことで独りでに腰が砕け、その場にへたり込んでしまいました。
「あんな化け物に、捕まってしまったら……。地獄が、待っていた……。逃げきれて、よかった……」
よかった。よかったっ。よかったっっ。よかったっっっ。ジスランはまるで壊れた機械のように同じ言葉を繰り返し、改めて安堵の息を吐き出しました。
「よくやったぞ、ジスラン。ヤツらは祭壇の方へと、戻っていった。お前は、やったのだ……っ! 勝ったのだ……っ! みごとっ、生をつかみ取ったのだ――」
「「「「「チチチチチ。チチチチチ」」」」」
「「「「キキキキキ。キキキキキ」」」」
「――…………。ま、まさか……」
ギギギギギ。そんな音が聞こえそうな程に固い動きで、彼は後ろを振り返ります。すると、そこには――嫌な予想が、的中。
祭壇の方へと向かったはずの異形達が、勢ぞろいしていたのでした。
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