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第13話 愚かな王の末路 俯瞰視点(1)
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「…………こ、ここは……。も、り……? 森、だな……?」
激しい光と未曽有の浮遊感に襲われた、その直後のこと。気が付くとジスランは木漏れ日の下におり、周囲を見回し呟きました。
「「「「「チチチチチッ。チチチチチ」」」」」
「「「「キキキキキッ。キキキッツ」」」」
「…………心地よい光が降り注いでいて…………鳥たちが、のんびりと過ごしている……。…………なんだ、これは……? 普通の場所じゃないか……?」
よく見れば至る所に、木の実が美味しそうな果物もなっている。
『これから貴様は俺が創造した世界に飛ばされ、貴様に相応しい出来事が待っているだろう。因果の応報を味わい、朽ちてゆくがいい』
あんな風に宣告されたのに、まるで違う。断罪と言っていたのに、なぜほのぼのとしているんだ……?
ジスランは何度も何度も首を傾げ、ですが、いくら考えても理由は分かりません。そのためとりあえず歩き出し、この場所の全容を確かめることにしました。
「「「「「チチチチチッ。チチチチチ」」」」」
「「「「キキキキキッ。キキキッツ」」」」
「ん? お前達もついてくるのか? まあ、いいだろう。来るがいい」
歩いていると鳥やリス達がついていて、そんな姿はペコペコ従う臣下達を連想させました。
服従させているようで気持ちがいい。そんな理由で彼は満足げに頷き、森の中を進んでゆきます。
「……ふむ、この先は道が二手に分かれているのか。では右へと進んで――む? そういえば……。ここは、見覚えがあるぞ。どこだったか……?」
進んでいるうちに既視感を覚えるようなり、ジスランは首を傾げながら前進。そんな動作を、二十数分続けた時でした。
ふいに目の前に現れた光景により、ようやく彼は思い出しました。
「そうだ! ここはエプリタニアの森だ!」
茂みを抜けた先にあった、祭壇。それはあの『精霊の祭壇』で、
「そうか、そうかそうかっ。ここはエプリタリアの森を模した場所だったのか!」
自身が飛ばされたのは、創られたものの知っている場所。ソレによってジスランに余裕が生まれ、自然と笑みが零れました。
ですが、その直後――。まるで、その安堵を待っていたかのように――
激しい光と未曽有の浮遊感に襲われた、その直後のこと。気が付くとジスランは木漏れ日の下におり、周囲を見回し呟きました。
「「「「「チチチチチッ。チチチチチ」」」」」
「「「「キキキキキッ。キキキッツ」」」」
「…………心地よい光が降り注いでいて…………鳥たちが、のんびりと過ごしている……。…………なんだ、これは……? 普通の場所じゃないか……?」
よく見れば至る所に、木の実が美味しそうな果物もなっている。
『これから貴様は俺が創造した世界に飛ばされ、貴様に相応しい出来事が待っているだろう。因果の応報を味わい、朽ちてゆくがいい』
あんな風に宣告されたのに、まるで違う。断罪と言っていたのに、なぜほのぼのとしているんだ……?
ジスランは何度も何度も首を傾げ、ですが、いくら考えても理由は分かりません。そのためとりあえず歩き出し、この場所の全容を確かめることにしました。
「「「「「チチチチチッ。チチチチチ」」」」」
「「「「キキキキキッ。キキキッツ」」」」
「ん? お前達もついてくるのか? まあ、いいだろう。来るがいい」
歩いていると鳥やリス達がついていて、そんな姿はペコペコ従う臣下達を連想させました。
服従させているようで気持ちがいい。そんな理由で彼は満足げに頷き、森の中を進んでゆきます。
「……ふむ、この先は道が二手に分かれているのか。では右へと進んで――む? そういえば……。ここは、見覚えがあるぞ。どこだったか……?」
進んでいるうちに既視感を覚えるようなり、ジスランは首を傾げながら前進。そんな動作を、二十数分続けた時でした。
ふいに目の前に現れた光景により、ようやく彼は思い出しました。
「そうだ! ここはエプリタニアの森だ!」
茂みを抜けた先にあった、祭壇。それはあの『精霊の祭壇』で、
「そうか、そうかそうかっ。ここはエプリタリアの森を模した場所だったのか!」
自身が飛ばされたのは、創られたものの知っている場所。ソレによってジスランに余裕が生まれ、自然と笑みが零れました。
ですが、その直後――。まるで、その安堵を待っていたかのように――
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