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第12話 クロエの一年間 俯瞰視点(2)

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「クビ!? わたしがですか!?」
「ああ。君のような人間をおいてはおけないよ」

 クロエが給仕を務めていたのは、貴族御用達のリストランテ。始まりはシブリアンからの誘いだったとはえい、世間を騒がす浮気問題に関与していた人間が働けるような場所ではありません。
 そのため即クビとなり――更にはこの件で店の評判を落とされたとして、慰謝料の請求までされてしまったのでした。

 そして――

「わたしを家から追い出す!? お父さんお母さんどうして!?」
「……お前のせいでウチは大変なことになってしまったんだ……! お前の顔なんて二度と見たくない……!!」
「売られないだけ、有難く思いなさい……! さあ、早く出ていって頂戴。二度とわたし達の前に現れないで!!」

 多額の慰謝料を請求されてしまったこと。近所の人間から白い目で見られるようになってしまったこと。自身の古いツテを使用して紹介したクロエが問題を起こしたせいで、そのツテはもう使えなくなってしまったこと。などなど。
 たくさんの理由でクロエの両親は激昂し、同じく即日家を追い出されてしまったのでした。

「……こんなことに……なっちゃうだなんて……。どうすればいいのよ……」

 金持ちの男を見掛けてすり寄ろうとしましたが、金持ちはあの写真を知っており敬遠されてしまいました。
 仕方なく働き口を探しましたが、写真のせいでまともな仕事はありませんでした。
 身体を売るような仕事はありましたが、その選択はクロエの中にはありませんでした。
 そのため、出来る仕事は限られてしまい――あちこちで日雇いの仕事を行いながら過ごし、

「…………やっと着いたわ……。ここが……日給が、一番高い街……!」

 よりよい環境を求め、『ランティナーズ』に流れ着いていたのでした。












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