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第7話 まだ続く、想定外 ~終幕の時~ 俯瞰視点(1)

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「………………」「………………」

 ボロボロではあるものの、自信たっぷりでヴィクトル達を迎えたブノアとステファン。そんな彼らの様子は、僅か3分足らずで激変することとなりました。

「紹介をさせていただきますね。僕が祖国から取り寄せていたものは、こちらの丸薬。魅了を強制的に解除できる効果を持つ、薬になります」

 今から2日半前に言及されていた、真偽を見極めるアイテム。その正体は、かかっている魅了を解くことができる薬。
 まるで想定外な、くだんの56通りにはないものが登場してしまったため、あっという間に余裕はなくなっていたのです。

「魅了は、何かしらの強いショックを受けないと解けない。その『強いショック』は人によってまるで異なっており、解除には非常に多くの時間を費やします。そこで僕達は、被害者を早急に救えるものを開発していたのですよ」
「そ、そう、なのですね……。…………え……? え……? コレで、見極める……? コレで……?」
「ど……。どういうこと…………なのですかな……」

 丸薬は呑むもので、ヴィクトルはこれを呑まそうとしている――。すでに解けていることになっている者に呑ませて、なにが分かるというんだ?――。
 ブノアとステファンは意図がまるで理解できず首を大きく傾げ、そうしているとヴィクトルの口元がくすりと緩みました。

「ええ、そうですね。貴方がたが現在思われているであろうことは、もっともです。それでは真偽など見極められませんよね」
「……え、ええ……」
「……こ、こんなもので……。どう、見極めるというのですか……?」
「どのように、嘘を吐いているか否かを調べるのか? そちらは、この丸薬のもう一つの性質を利用するのですよ」

 その言葉を合図に、控えていた男二人が――王家の使者2人が動き出し、ブノアとステファンにそれぞれ1枚の紙を渡しました。
 二人に渡された紙、それは丸薬の詳細が記されたもの。事細かな成分、そして、仕組みが記されたものです。

「ブノア様、ステファン様。その紙の中段、赤い線で囲んでいる部分をご覧ください」
「は、はい……」「はい……」

 戸惑いながら二人は紙面に目を落とし、指定された箇所を読み始めます。そうして彼らはこの丸薬の仕組みを理解し始め、動いていた視線は『ある部分』で揃って止まってしまうこととなりました。

「な……。な……!」「なぁ……!」

 ブノア達の視線を止め、更には激しく震えるようになった訳。それは――

《注意
 もしも過去一度も魅了にかかった経験のないものに使用してしまうと、その者には強い魅了がかかってしまう。
 必ずや魅了が確定してから使用するように                      》

 そこには、そのような文字が並んでいたからです。

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