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第3話 逃げ切るために フルク視点(2)

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「え? あ、あれ……? え……?」

 さっきまで全員ニコニコしていたのに、途端に一変してしまった。
 あまりにおかしいから見間違いだと思ったが、違う。目を擦ってみても表情は誰一人変わっていなくて、曇ったままだった。

「へ……? 魅了が解けて犯人がいなくなって、解決したのに、なんで……? もっ、もしかして時間差でキトリーの言い分を信じてしまったのか!? ペリーヌっ、そうなのかいっ!?」
「いいえ、違います。わたくしはあの方の発言を信じてはおりませんし、陛下たちも信じてはいらっしゃいません」

 ペリーヌに続いて父上達も首を左右に振ったから、そうではないらしい。
 そ、そうだよな。一度大嘘をついたヤツを信じるはずないもんな。そうなるはずがない。

((じゃあ……。なんなんだ……?))

 誰もアイツの訴えを信じていなくて、今は半年にも及ぶ大事件が解決したばかりなんだぞ? どうしてそうなるんだ。

((まさか……。操られている間に、なにかとんでもないことをやらかしていた……? 全員ホッとしたらソレに気が付いて、こんな風になっているのか……?))

 その可能性は………………いや、ない。あり得ない。
 魅了にかかっている間の出来事は全部覚えていて、振り返ってみたけど思い当たるものはなかった。問題になるようなことはなにもないぞ。

((だったら、理由はなんだ……? こんなの、いくら考えて分からない――バカか俺は。考えて分からないなら考えても意味がないだろ))

 情報があまりに少なすぎて、推測は不可能。動揺のせいで当たり前のことをすっかり忘れてしまっていて、俺は下げていた視線をもとの高さへと戻した。

「ペリーヌ。君や父上達は。なんでそんな風になっているんだ? 教えてくれ」
「……承知いたしました。…………なぜ陛下や妃殿下、シメオン様やわたくしが、このようになっているのか? それは――」

 首を傾げているとお手本のような一礼が返ってきて、彼女は淡々と――

「殿下は結局、最後まで嘘を吐かれてしまった。そちらが原因でございます」

 ――……………………。
 信じられない言葉を、口にしたのだった。
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