10年前にわたしを陥れた元家族が、わたしだと気付かずに泣き付いてきました

柚木ゆず

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第11話 その頃 テレーズ視点

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「そう、だったんですね。あのあと、そんなことが起きていたんですね」

 ゼナイドお母さんと一緒に休憩をしてから、3時間くらいが経った頃でした。テランスさんが農園に戻ってきて、その間に起きていたことを説明してくれました。

 外出時に園で緊急の問題が発生した際すぐに気付いて戻れるように、ウチは色々な場所に連絡を届けられる『ポスト』を設置しています。その中の一つに立ち寄った際にライアンさんからの手紙を見つけ、イヴェット達の存在を知った。
 そして事務所の前ですでに三人と接触していると知り、今日の出来事を加えた『お礼』をすると決める。そうして先回りをして三人を翻弄し、イヴェット達3人を探していた人――祖国の伯爵様に、身柄を渡したそうです。

「イヴェット達がこの国にいたのは、また問題を起こしていたからなんですね。本当に、あの人らしいです」
「何一つ省みない性格が生んだ、当然と言える出来事であり結果だよね。ライアンさんの話によると、あちらは相当お怒りらしい。きっと、一生苦しむ羽目になるだろうね」

 心の底から憎んでいる場合、苦しみが一瞬で終わる『殺す』は選びません。恐らくは生かさず殺さずの状況を作り、その中に放り込むのでしょうね。

「イヴェット、レジスさん、ゾエさん。本人達に向かって言いたいことは言えましたし、その後は想像以上のことが起きました。わたしの中にはもうモヤモヤはなく、スッキリしています」
「そっか。よかった」
「あの人達との縁――目には見えない繋がりも、今日完全に絶ち切れた気がします。本当の意味で他人になった感覚があります」
「そうなんだ。じゃあ今夜は、それも含めたお祝いをしないとね。と言いたいところだけど、パーティーに関してお詫びがあるんだ」

 今夜は午後8時から、わたしの10周年を祝ってくださるパーティーが開かれる予定になっていました。
 そちらが、どうかしたのでしょうか……?

「急遽とあるサプライズを起こせるようになって、それができるようになるのは5日後なんだよ。だからお祝いパーティーは5日後に延期させてもらって、今日は食事とケーキを楽しむ普通のパーティーにしたいんだ」
「はい、分かりました。楽しみにしていますね」

 サプライズの予想がつきません。ですので色々なことを想像しながら時を過ごし、ついに5日後になりました。
 当初の予定と同じ、8時ちょうど。わたしは、家族と従業員の皆さんが集まっている会場へと案内されて――







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