23 / 24
第11話 その頃 テレーズ視点
しおりを挟む
「そう、だったんですね。あのあと、そんなことが起きていたんですね」
ゼナイドお母さんと一緒に休憩をしてから、3時間くらいが経った頃でした。テランスさんが農園に戻ってきて、その間に起きていたことを説明してくれました。
外出時に園で緊急の問題が発生した際すぐに気付いて戻れるように、ウチは色々な場所に連絡を届けられる『ポスト』を設置しています。その中の一つに立ち寄った際にライアンさんからの手紙を見つけ、イヴェット達の存在を知った。
そして事務所の前ですでに三人と接触していると知り、今日の出来事を加えた『お礼』をすると決める。そうして先回りをして三人を翻弄し、イヴェット達3人を探していた人――祖国の伯爵様に、身柄を渡したそうです。
「イヴェット達がこの国にいたのは、また問題を起こしていたからなんですね。本当に、あの人らしいです」
「何一つ省みない性格が生んだ、当然と言える出来事であり結果だよね。ライアンさんの話によると、あちらは相当お怒りらしい。きっと、一生苦しむ羽目になるだろうね」
心の底から憎んでいる場合、苦しみが一瞬で終わる『殺す』は選びません。恐らくは生かさず殺さずの状況を作り、その中に放り込むのでしょうね。
「イヴェット、レジスさん、ゾエさん。本人達に向かって言いたいことは言えましたし、その後は想像以上のことが起きました。わたしの中にはもうモヤモヤはなく、スッキリしています」
「そっか。よかった」
「あの人達との縁――目には見えない繋がりも、今日完全に絶ち切れた気がします。本当の意味で他人になった感覚があります」
「そうなんだ。じゃあ今夜は、それも含めたお祝いをしないとね。と言いたいところだけど、パーティーに関してお詫びがあるんだ」
今夜は午後8時から、わたしの10周年を祝ってくださるパーティーが開かれる予定になっていました。
そちらが、どうかしたのでしょうか……?
「急遽とあるサプライズを起こせるようになって、それができるようになるのは5日後なんだよ。だからお祝いパーティーは5日後に延期させてもらって、今日は食事とケーキを楽しむ普通のパーティーにしたいんだ」
「はい、分かりました。楽しみにしていますね」
サプライズの予想がつきません。ですので色々なことを想像しながら時を過ごし、ついに5日後になりました。
当初の予定と同じ、8時ちょうど。わたしは、家族と従業員の皆さんが集まっている会場へと案内されて――
ゼナイドお母さんと一緒に休憩をしてから、3時間くらいが経った頃でした。テランスさんが農園に戻ってきて、その間に起きていたことを説明してくれました。
外出時に園で緊急の問題が発生した際すぐに気付いて戻れるように、ウチは色々な場所に連絡を届けられる『ポスト』を設置しています。その中の一つに立ち寄った際にライアンさんからの手紙を見つけ、イヴェット達の存在を知った。
そして事務所の前ですでに三人と接触していると知り、今日の出来事を加えた『お礼』をすると決める。そうして先回りをして三人を翻弄し、イヴェット達3人を探していた人――祖国の伯爵様に、身柄を渡したそうです。
「イヴェット達がこの国にいたのは、また問題を起こしていたからなんですね。本当に、あの人らしいです」
「何一つ省みない性格が生んだ、当然と言える出来事であり結果だよね。ライアンさんの話によると、あちらは相当お怒りらしい。きっと、一生苦しむ羽目になるだろうね」
心の底から憎んでいる場合、苦しみが一瞬で終わる『殺す』は選びません。恐らくは生かさず殺さずの状況を作り、その中に放り込むのでしょうね。
「イヴェット、レジスさん、ゾエさん。本人達に向かって言いたいことは言えましたし、その後は想像以上のことが起きました。わたしの中にはもうモヤモヤはなく、スッキリしています」
「そっか。よかった」
「あの人達との縁――目には見えない繋がりも、今日完全に絶ち切れた気がします。本当の意味で他人になった感覚があります」
「そうなんだ。じゃあ今夜は、それも含めたお祝いをしないとね。と言いたいところだけど、パーティーに関してお詫びがあるんだ」
今夜は午後8時から、わたしの10周年を祝ってくださるパーティーが開かれる予定になっていました。
そちらが、どうかしたのでしょうか……?
「急遽とあるサプライズを起こせるようになって、それができるようになるのは5日後なんだよ。だからお祝いパーティーは5日後に延期させてもらって、今日は食事とケーキを楽しむ普通のパーティーにしたいんだ」
「はい、分かりました。楽しみにしていますね」
サプライズの予想がつきません。ですので色々なことを想像しながら時を過ごし、ついに5日後になりました。
当初の予定と同じ、8時ちょうど。わたしは、家族と従業員の皆さんが集まっている会場へと案内されて――
69
お気に入りに追加
1,090
あなたにおすすめの小説


「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。
window
恋愛
「アリス姉さん助けてくれ!女友達と旅行に行っただけなのに婚約しているフローラに別れると言われたんだ!」
弟のハリーが泣きながら訪問して来た。姉のアリス王妃は突然来たハリーに驚きながら、夫の若き国王マイケルと話を聞いた。
結婚して平和な生活を送っていた新婚夫婦にハリーは涙を流して理由を話した。ハリーは侯爵家の長男で伯爵家のフローラ令嬢と婚約をしている。
それなのに婚約破棄して別れるとはどういう事なのか?詳しく話を聞いてみると、ハリーの返答に姉夫婦は呆れてしまった。
非常に頭の悪い弟が常識的な姉夫婦に相談して婚約者の彼女と話し合うが……

愛人がいる夫との政略結婚の行く末は?
しゃーりん
恋愛
子爵令嬢セピアは侯爵令息リースハルトと政略結婚した。
財政難に陥った侯爵家が資産家の子爵家を頼ったことによるもの。
初夜が終わった直後、『愛する人がいる』と告げたリースハルト。
まごうことなき政略結婚。教会で愛を誓ったけれども、もう無効なのね。
好きにしたらいいけど、愛人を囲うお金はあなたの交際費からだからね?
実家の爵位が下でも援助しているのはこちらだからお金を厳しく管理します。
侯爵家がどうなろうと構わないと思っていたけれど、将来の子供のために頑張るセピアのお話です。

残念ながら、定員オーバーです!お望みなら、次期王妃の座を明け渡しますので、お好きにしてください
mios
恋愛
ここのところ、婚約者の第一王子に付き纏われている。
「ベアトリス、頼む!このとーりだ!」
大袈裟に頭を下げて、どうにか我儘を通そうとなさいますが、何度も言いますが、無理です!
男爵令嬢を側妃にすることはできません。愛妾もすでに埋まってますのよ。
どこに、捻じ込めると言うのですか!
※番外編少し長くなりそうなので、また別作品としてあげることにしました。読んでいただきありがとうございました。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

聖女の私を追放?ちょうど私も出て行こうとしていたところです
京月
恋愛
トランプ王国で聖女として働いていたリリスをあまりよく思わない王子ガドラ。リリスに濡れ衣を着せ追放を言い渡す。ガドラ「リリス、お前はこの国から追放だ!!」(ドヤ) リリス「ちょうど私もこの国を出ようとしていたところなんですよ」(ニコ) ガドラ「……え?」

私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪
百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。
でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。
誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。
両親はひたすらに妹をスルー。
「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」
「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」
無理よ。
だって私、大公様の妻になるんだもの。
大忙しよ。

婚約破棄と言うなら「時」と「場所」と「状況」を考えましょうか
ゆうぎり
恋愛
突然場所も弁えず婚約破棄を言い渡された。
確かに不仲ではあった。
お互い相性が良くないのは分かっていた。
しかし、婚約を望んできたのはそちらの家。
国の思惑も法も不文律も無視しての発言。
「慰謝料?」
貴方達が払う立場だと思うわ。
どれだけの貴族を敵に回した事か分かっているのかしら?
隣国で流行りだからといって考えなしな行動。
それとも考えての事だったのか?
とても不思議な事です。
※※※ゆるゆる設定です。
※※※オムニバス形式。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる