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第10話 元家族のその後~元姉、元父、元母side~ 俯瞰視点
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「「「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……! はぁ……!」」」
新たな移動が始まってから、一週間後。イヴェット、レジス、ゾエの三人は、同国の北部にある鉱山に居ました。
――鉱山で重労働――。
それが、キックスが用意した『罰』。
労働時間は毎日、朝7時から夜の9時まで。休憩時間は正午から午後1時までの1時間。食事は、正規の労働者用の食事の余り物を1日3回与えられる。
イヴェット達は1日半後に到着してから即、こういったサイクルを課せられていたのです。
「はあ……。はあ……。はあ……。くる、しい……」
「はぁ……。はあ……。はあ……。しんどい……」
「はあ……。はあ……。はあ……。つらい……」
三人はこれまで貴族として生きてきたため、肉体労働の経験なんてありません。そのため体中が悲鳴をあげ、苦しみの声が漏れますが、全員が歯を食いしばって働き続けます。
なぜならば――
「イヴェット手が止まってるぞ! さっさとツルハシを振れ!!」
「ぎゃああああ!?」
――イヴェット達の背後にはそれぞれ専属の監視員が立っており、少しでも疎かになると容赦なく左頬に鞭が飛んでくるからです。
「わたくしっ、ナイフの傷がまだ治っていないんですっ! 許してくださいっ!」
「うるさい! それ以上余計なことを喋るともう一発いくぞ!」
「ひぃぃっ。ごっ、ごめんなさいっ! やりますっ! 一生懸命働きます!」
心の中では罵詈雑言を放っていますが、そうしてしまえばもっと酷い目に遭う。イヴェットはすぐさま謝って死に物狂いで働き続け――やがて午後9時となり、今日の労働は終了となりました。
「「「や、やっと、終わった……」」」
仕事を終えた三人は、食事を摂ったあと専用の宿舎――古びた物置へと戻り、ボロボロのベッドで大の字になります。そうして揃って安堵の表情を浮かべますが、すぐにその顔は絶望で染まります。
「「「……もう、朝……。また働かないといけない……」」」
疲労によってベッドに入った瞬間眠ってしまうため、休んだ感覚はほぼありません。
ですが働かないと頬を叩かれてしまうため、三人は涙目になりながら職場に向かいます。
「「「……もう嫌だ……。誰か、助けて……」」」
そうして今日も助けを求めますが、救いの手を差し伸べる者などいません。
かつて自分の罪を妹に押し付け、更には殺そうとしたイヴェットとレジスとゾエ。彼女達はその行いによって10年後、絶望の道を生涯歩み続ける羽目になってしまったのでした――。
新たな移動が始まってから、一週間後。イヴェット、レジス、ゾエの三人は、同国の北部にある鉱山に居ました。
――鉱山で重労働――。
それが、キックスが用意した『罰』。
労働時間は毎日、朝7時から夜の9時まで。休憩時間は正午から午後1時までの1時間。食事は、正規の労働者用の食事の余り物を1日3回与えられる。
イヴェット達は1日半後に到着してから即、こういったサイクルを課せられていたのです。
「はあ……。はあ……。はあ……。くる、しい……」
「はぁ……。はあ……。はあ……。しんどい……」
「はあ……。はあ……。はあ……。つらい……」
三人はこれまで貴族として生きてきたため、肉体労働の経験なんてありません。そのため体中が悲鳴をあげ、苦しみの声が漏れますが、全員が歯を食いしばって働き続けます。
なぜならば――
「イヴェット手が止まってるぞ! さっさとツルハシを振れ!!」
「ぎゃああああ!?」
――イヴェット達の背後にはそれぞれ専属の監視員が立っており、少しでも疎かになると容赦なく左頬に鞭が飛んでくるからです。
「わたくしっ、ナイフの傷がまだ治っていないんですっ! 許してくださいっ!」
「うるさい! それ以上余計なことを喋るともう一発いくぞ!」
「ひぃぃっ。ごっ、ごめんなさいっ! やりますっ! 一生懸命働きます!」
心の中では罵詈雑言を放っていますが、そうしてしまえばもっと酷い目に遭う。イヴェットはすぐさま謝って死に物狂いで働き続け――やがて午後9時となり、今日の労働は終了となりました。
「「「や、やっと、終わった……」」」
仕事を終えた三人は、食事を摂ったあと専用の宿舎――古びた物置へと戻り、ボロボロのベッドで大の字になります。そうして揃って安堵の表情を浮かべますが、すぐにその顔は絶望で染まります。
「「「……もう、朝……。また働かないといけない……」」」
疲労によってベッドに入った瞬間眠ってしまうため、休んだ感覚はほぼありません。
ですが働かないと頬を叩かれてしまうため、三人は涙目になりながら職場に向かいます。
「「「……もう嫌だ……。誰か、助けて……」」」
そうして今日も助けを求めますが、救いの手を差し伸べる者などいません。
かつて自分の罪を妹に押し付け、更には殺そうとしたイヴェットとレジスとゾエ。彼女達はその行いによって10年後、絶望の道を生涯歩み続ける羽目になってしまったのでした――。
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