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第8話 気が付くと 俯瞰視点(1)
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「起きろっ! 起きるんだ!! イヴェット!」「起きて! ねえ! イヴェットっ、起きて頂戴っ!!」
「………………う……。あさ……? わたくし……いつの間に、眠って――なんですのこれは!?」
父親と母親の大声によって目覚めると、三人全員が縄で全身をグルグル巻きにされて床に転がっていた。そんな異常な状況に悲鳴をあげ、すぐにイヴェットは思い出しました。
ついさっきまで起きていたこと――馬車の中で起きたことを。
「思い出した! あの男は農園長っ、ルナの夫だった!! にっ、逃げないと! 逃げないとっ!!」
「そうなのだっ! アイツはまず間違いなく俺達を殺す!! 理由は分からんがっ、ヤツは今居ないんだ!! チャンスは今しかない!!」
「だから必死で起こしてたのよっ! イヴェットも一緒に考えましょ!! ここから脱出する方法を!!」
薄暗い建物の中で、まるで『川』の字のように転がされている自分達。首の下から足首まで縄で縛られている身体を空間を見回し、悲鳴に近い大声を上げました。
「方法ってっ、お母様!! 手も足もまともに動かせないのに!! 方法なんてあるはずがない!!」
「イヴェットっ、方法は探せばある!! 必ずあるのだ!! 諦めては駄目だ!! とにかく頭を働かせるんだ!!」
自分に言い聞かせるようにレジスは叫び、イヴェットはそんな大声に頷き三人仲良く脱出方法を探し始めます。
「……。方法は……」
「……方法は……」
「……方法、は……」
「……っ! お父様お母様! 歯っ、歯がありますわ! 噛み切れば縄はほどけるっ、手足が自由になりますわ!」
「おおっ! それだ! さすが我が娘だ!!」
「すぐやりましょ!! この縄を――駄目届かないわっ! あなたっ、わたくしの縄を噛んで頂戴!!」
「わっ、分かった!! イヴェット! 俺の縄を頼む!」
「分かりましたわ! お母様はっ、わたくしの足の方の縄を噛んでっ!!」
ズリズリズリと。三人は芋虫のように身体を動かして『〇』の形を取り、ゾエの縄をレジスが、レジスの縄をイヴェットが、イヴェットの縄をゾエが噛み始めました。
「うぐううううううううううううううううううううううう!!」
「うごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うぐああああああああああああああああ!!」
太い縄に犬歯を突き立て、ギリギリとめり込ませる。そうして三人は顔を真っ赤にしながら、拘束具の切断を試みて――
「………………う……。あさ……? わたくし……いつの間に、眠って――なんですのこれは!?」
父親と母親の大声によって目覚めると、三人全員が縄で全身をグルグル巻きにされて床に転がっていた。そんな異常な状況に悲鳴をあげ、すぐにイヴェットは思い出しました。
ついさっきまで起きていたこと――馬車の中で起きたことを。
「思い出した! あの男は農園長っ、ルナの夫だった!! にっ、逃げないと! 逃げないとっ!!」
「そうなのだっ! アイツはまず間違いなく俺達を殺す!! 理由は分からんがっ、ヤツは今居ないんだ!! チャンスは今しかない!!」
「だから必死で起こしてたのよっ! イヴェットも一緒に考えましょ!! ここから脱出する方法を!!」
薄暗い建物の中で、まるで『川』の字のように転がされている自分達。首の下から足首まで縄で縛られている身体を空間を見回し、悲鳴に近い大声を上げました。
「方法ってっ、お母様!! 手も足もまともに動かせないのに!! 方法なんてあるはずがない!!」
「イヴェットっ、方法は探せばある!! 必ずあるのだ!! 諦めては駄目だ!! とにかく頭を働かせるんだ!!」
自分に言い聞かせるようにレジスは叫び、イヴェットはそんな大声に頷き三人仲良く脱出方法を探し始めます。
「……。方法は……」
「……方法は……」
「……方法、は……」
「……っ! お父様お母様! 歯っ、歯がありますわ! 噛み切れば縄はほどけるっ、手足が自由になりますわ!」
「おおっ! それだ! さすが我が娘だ!!」
「すぐやりましょ!! この縄を――駄目届かないわっ! あなたっ、わたくしの縄を噛んで頂戴!!」
「わっ、分かった!! イヴェット! 俺の縄を頼む!」
「分かりましたわ! お母様はっ、わたくしの足の方の縄を噛んでっ!!」
ズリズリズリと。三人は芋虫のように身体を動かして『〇』の形を取り、ゾエの縄をレジスが、レジスの縄をイヴェットが、イヴェットの縄をゾエが噛み始めました。
「うぐううううううううううううううううううううううう!!」
「うごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うぐああああああああああああああああ!!」
太い縄に犬歯を突き立て、ギリギリとめり込ませる。そうして三人は顔を真っ赤にしながら、拘束具の切断を試みて――
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