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第7話 二つめの自業自得 俯瞰視点(2)
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「……病気の妹さん……娘さんを、救うために隣国から……。そうだったのですね……」
「はい、そうなんです……。妹は元々病弱で、そんな体質が原因で大きな病にかかってしまって……。どうしても、治療費を稼がないといけないんです……」
三人が馬車に乗ってから、およそ十五分後。車内ではイヴェット、レジスとゾエも、神妙な面持ちを浮かべていました。
「もしかして……。先ほど仰られていた、順調だった商売で大失敗をしてしまったのは……」
「その通りでございます。……妹を救うには沢山のお金が必要で、少しでも早く用意しないと、と必死になりまして……」
「我々は無茶な勝負をし……。その結果、全てを失ったのでございます……」
「ですがどうにかして、手術費用を集めないといけない。でも祖国ではいつも足元を見られて、酷い条件を提示する仕事しかなく……。常識的な報酬を貰える、かつ、住み込みで働ける場所を探し、この国を訪れております……」
農園の事務所で話した時とは、正反対。今度は全員が落ち着いた状態で、しっかりと説明をしてゆきます。
「とはいえこの国でも、足元を見られてしまうことが多く……。更には先ほどは…………盗賊まがいの者達に襲われかけました……」
「金を出せ! 出さないと殺すぞ! と、言われました……。刃物を出しながら……」
「ですのでわたくし達は必死になって、逃げて……。疲れ切っていたところを、運よくカノンさんに見つけていただき今に至ります……」
「まさか、あんなことがあるだなんて……。怖かった……。しばらくは、外を歩けそうにありません……」
イヴェットは身体を震わせ、一生懸命振り絞って涙を浮かべます。
――同情して――。
――憐れんでわたくし達を雇って――。
と、心の中で強く願いながら。
目の前にいる、宿屋の息子カノン。彼の話の中で、それなりの規模の宿を営んでいると知りました。
従業員の数は足りているかもしれないけど、カノンはわざわざ助けてくれたり、体力回復にとお菓子をくれるような人――『困っている人は親身になって助けなさい』をモットーにしている人。だったら困っているアピールをすれば雇ってくれるかもしれないし、上手くいけば住み込みで働ける可能性だってある。
そんな理由で、ありもしない苦労話を逐一語っていたのです。
「働ける場所がすぐに見つかれば、いいんですけど……。その気配はなくて……。目の前が真っ暗になっています……」
「そう、なのですね……。……………………セリアさん、ケヴィンさん、レアさん」
事務所で出した名前は縁起が悪いからと、急いで考えた新たな名前。イヴェット、レジス、ゾエの名を呼んだ彼は、
「そういうことなら、ウチで働きませんか? 住み込みで」
三人が待ち望んでいた言葉を、口にしたのでした。
そしてその瞬間、
((やった!))((やったぞ!))((やったわ!))
三人は心の中で快哉を叫びましたが、残念ながらソレは幸せの始まりではありませんでした。彼女達を待っているのは――
「はい、そうなんです……。妹は元々病弱で、そんな体質が原因で大きな病にかかってしまって……。どうしても、治療費を稼がないといけないんです……」
三人が馬車に乗ってから、およそ十五分後。車内ではイヴェット、レジスとゾエも、神妙な面持ちを浮かべていました。
「もしかして……。先ほど仰られていた、順調だった商売で大失敗をしてしまったのは……」
「その通りでございます。……妹を救うには沢山のお金が必要で、少しでも早く用意しないと、と必死になりまして……」
「我々は無茶な勝負をし……。その結果、全てを失ったのでございます……」
「ですがどうにかして、手術費用を集めないといけない。でも祖国ではいつも足元を見られて、酷い条件を提示する仕事しかなく……。常識的な報酬を貰える、かつ、住み込みで働ける場所を探し、この国を訪れております……」
農園の事務所で話した時とは、正反対。今度は全員が落ち着いた状態で、しっかりと説明をしてゆきます。
「とはいえこの国でも、足元を見られてしまうことが多く……。更には先ほどは…………盗賊まがいの者達に襲われかけました……」
「金を出せ! 出さないと殺すぞ! と、言われました……。刃物を出しながら……」
「ですのでわたくし達は必死になって、逃げて……。疲れ切っていたところを、運よくカノンさんに見つけていただき今に至ります……」
「まさか、あんなことがあるだなんて……。怖かった……。しばらくは、外を歩けそうにありません……」
イヴェットは身体を震わせ、一生懸命振り絞って涙を浮かべます。
――同情して――。
――憐れんでわたくし達を雇って――。
と、心の中で強く願いながら。
目の前にいる、宿屋の息子カノン。彼の話の中で、それなりの規模の宿を営んでいると知りました。
従業員の数は足りているかもしれないけど、カノンはわざわざ助けてくれたり、体力回復にとお菓子をくれるような人――『困っている人は親身になって助けなさい』をモットーにしている人。だったら困っているアピールをすれば雇ってくれるかもしれないし、上手くいけば住み込みで働ける可能性だってある。
そんな理由で、ありもしない苦労話を逐一語っていたのです。
「働ける場所がすぐに見つかれば、いいんですけど……。その気配はなくて……。目の前が真っ暗になっています……」
「そう、なのですね……。……………………セリアさん、ケヴィンさん、レアさん」
事務所で出した名前は縁起が悪いからと、急いで考えた新たな名前。イヴェット、レジス、ゾエの名を呼んだ彼は、
「そういうことなら、ウチで働きませんか? 住み込みで」
三人が待ち望んでいた言葉を、口にしたのでした。
そしてその瞬間、
((やった!))((やったぞ!))((やったわ!))
三人は心の中で快哉を叫びましたが、残念ながらソレは幸せの始まりではありませんでした。彼女達を待っているのは――
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