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第17話 その後~レリアSide~ 俯瞰視点(1)
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「レリアっ、なにボーっとしてるのよっ! わたしは今、とてものどが渇いているのっ! 早く紅茶を淹れてきなさい!!」
「ヤニク! お前もだ!! いつまでもボサッとするな! 廊下の掃除が終わったのなら、庭の掃除をしてこい!!」
「かっ、畏まりました奥様っ! 至急お持ちいたします!!」
「もっ、申し訳ございません旦那様!! だっ、大至急っ、喜んでっ、行わせていただきます!!」
森の中で仲良く失禁してしまった日から、37年後。かつて貴族籍を有していたレリアとヤニクは出所し、同国内の北部にあるお屋敷で――サースルク子爵邸にて、使用人として働いていました。
「レリア、ヤニク。貴方達を、ウチで雇ってあげましょうか?」
その始まりは、出所の日でした。久し振りに、外の世界に出た二人。ようやく自由の身となった二人の前に馬車が停まり、見覚えのある人が――かつて散々マウントを取り小馬鹿にしてきた知人の一人、かつて男爵令嬢で今は子爵夫人であるミアが、声をかけてきたのでした。
((こんな人達のもとで働く? あり得ませんわ……!))
((わたし達が、こんな女のしたにつくだなんて……。ありえない……!))
これは、シリルの反感を買う行為ではありません。そのため2人は強気に拒否をして、不機嫌にその場を去りました。
しかしながら彼女たちは、『貴族籍を失った前科者』。そんな人間をまともな人が雇うはずはなく、すぐに自分達は選べる立場ではないと思い知ります。
その結果――
「ミア、様……。あの時は断ってしまった、あのお話を……。再びいただくことは、できませんでしょうか……?」
「我々は全身全霊を注ぎ、尽くさせていただきます故……。お傍にお置きくださいませ……!!」
――僅か2日後に親子揃って両膝をつき、サースルク家で働かせてもらっていたのです。
そうして2人は餓死を回避できたのですが、残念ながら――。良い生活は、待ってはいませんでした。
使用人となったその日から、2人は――
「ヤニク! お前もだ!! いつまでもボサッとするな! 廊下の掃除が終わったのなら、庭の掃除をしてこい!!」
「かっ、畏まりました奥様っ! 至急お持ちいたします!!」
「もっ、申し訳ございません旦那様!! だっ、大至急っ、喜んでっ、行わせていただきます!!」
森の中で仲良く失禁してしまった日から、37年後。かつて貴族籍を有していたレリアとヤニクは出所し、同国内の北部にあるお屋敷で――サースルク子爵邸にて、使用人として働いていました。
「レリア、ヤニク。貴方達を、ウチで雇ってあげましょうか?」
その始まりは、出所の日でした。久し振りに、外の世界に出た二人。ようやく自由の身となった二人の前に馬車が停まり、見覚えのある人が――かつて散々マウントを取り小馬鹿にしてきた知人の一人、かつて男爵令嬢で今は子爵夫人であるミアが、声をかけてきたのでした。
((こんな人達のもとで働く? あり得ませんわ……!))
((わたし達が、こんな女のしたにつくだなんて……。ありえない……!))
これは、シリルの反感を買う行為ではありません。そのため2人は強気に拒否をして、不機嫌にその場を去りました。
しかしながら彼女たちは、『貴族籍を失った前科者』。そんな人間をまともな人が雇うはずはなく、すぐに自分達は選べる立場ではないと思い知ります。
その結果――
「ミア、様……。あの時は断ってしまった、あのお話を……。再びいただくことは、できませんでしょうか……?」
「我々は全身全霊を注ぎ、尽くさせていただきます故……。お傍にお置きくださいませ……!!」
――僅か2日後に親子揃って両膝をつき、サースルク家で働かせてもらっていたのです。
そうして2人は餓死を回避できたのですが、残念ながら――。良い生活は、待ってはいませんでした。
使用人となったその日から、2人は――
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