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第15話 知り尽くされていた理由 レリア視点(2)

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「『言葉足らずなせいで』、そんな理不尽な理由で復讐を企てたこと。ここまで用意周到に、計画を練っていたこと。それらの罪が全て、貴方たちにやってくるのです。さて、どんな罰になるのでしょうね?」
「ぁ、ぁぁぁ……。ゆっ、許してくださいっ。みっ、見逃してくださいっ!!」

 だって! 重罪になると決まっているんだもの!! 意地なんて張ってる場合じゃないだんものっ!!
 大急ぎで両膝を突き、胸の前で手を組んだっ。

「ま、まだあの者達を治安局に引き渡していないんですよねっ!? 報告も、していないんですよっっ!?」
「ええ、そうですね。これから、行う予定でした」
「でしたらっ!! どうか、寛大なご判断を……!! これ以上、毎日が酷くなるのは嫌なんです……っ。チャンスを、ください……!!」

 社交界どころか、貴族界どころかっ、世間からはじき出されるだなんて……。絶対に、嫌……!
 必死にシリルを――シリル様を見上げて訴え、言い終えると体の向きを反対にする。

「ベルティーユ……っ。ごめんなさい……っ。あのねっ! 本当はねっ、貴方が羨ましかったの!」
「………………」
「シリル様のような中身も立場も、勿論容姿もそうっ! 全てが素晴らしい方にプロポーズされたことにねっ、内心嫉妬していましたのっ! だから悔しさでっ、あんな風に下げたりバカにしたりしてしまいたのっ!! わたくしの婚約者より下と思ったことは、一度もなくって!! 密かに、憧れのっ、羨望の眼差しを注いでいましたの!!」
「………………レリア、何を言っても無駄よ。本音ではないって、助かるための方便だって分かるから」
「違うの!! 本心本音なの!! 信じて――」
「信じられるはずがないわ。だってあの日の貴方は…………その言い分が何の効果も持たなくなるほどに、ひどい振る舞いをしていたのだから」

 4か月前私は1時間近く我慢をして、最後には『こんな微妙男』と言い放たれたんですもの――。ベルティーユは静かに首を振り、許すつもりはないと断言された……。

「そ、そんな……。そんな…………っ」
「ベルティーユ様が許さないのであれば、僕が許すはずはない。やはり君を待っているのは、治安局への連行だよ」
「そ、んな……。いや……。いやぁ……っ! いやぁぁ……っっ!! 許してぇぇ……!!」
「帰国後だけでも、あれだけのことをしたんだ。許してもらえるはずがない。……さあ、行きましょうか。暗くて狭い場所にね」

 そう告げると、ぁぁぁ! シリル様の臣下がやって来て、あっという間に拘束されて……。エントランスに連れていかれたら、

「ぁぁ……。レリア……。もう、終わりだ……」

 お父様も、拘束されていて……。
 だから動ける味方は独りもいなくって、だから、だから……。乱暴に馬車に乗せられて、わたくし達は――

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