上 下
15 / 33

第10話 理不尽~目撃前のやり取り~ レリア視点

しおりを挟む
「ぁああああああああああ!! ぃぁああぅぁあああああああああああああああ!!」

 お屋敷に帰った直後――わたくしの怒りは、爆発した。パーティー会場に置かれていたテーブルをひっくり返し、お皿やグラスを手当たり次第に叩きつける。
 地面に料理が落ちても、そんなのどうでもいい! とにかく視界に入るもの全てを、力任せに壊してゆく。

「新生活が崩壊したのにっ、もう散々な目に遭ってるのに!! レイモン・・・・のせいでまともな男は寄って来なくなってるのに!! なのに、まだこれ!! なんなのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 フォークとナイフを芝生に投げ、足元にあったグラスを踏んで割る。それまでも収まらずサンドウィッチごと大皿を叩き落として踏みつけ、ティーポットとティーポットを思い切りぶつけて破壊する。

「ぁあぁあああああああああ!! ぁああああああああああああああああ!!」

 そうして本能の赴くままに暴れ回って、すっかり暗くなったから――1時間くらいは、そうしていたと思う。ようやくある程度怒りが鎮まって、そうすればお父様が近づいてきた。

同行者レーズから、話は聞いている。可哀想に……。なんとも陰湿なやり方だ」
「まったくですわ……っ。その時なにも言わずに、人が弱っている時に叩くだなんて……。あちらこそが、人間の屑ですわよ……!」

 我慢? そんなのウソ、大嘘! どうせ侯爵夫人になるから言えなかっただけ!
 どいつもこいつも、情けないヤツらですわ……っっ!

「でも……。そんな人達も……。わたくしには、必要だった……っ」

 だって他人がいないと、自慢できないし羨ましがられないんですものっ。

 あんな人達と疎遠になってよかった――。せいせいする――。
 疎遠になったのは、よくなかった――。嫌だ元に戻したい――。

 そんな2つが入り混じるようになって、やっぱり、『戻したい』が強くなっていって……。でも、もう絶対にそうはならないから……。
 つらくて、悲しくて……っ。だからまた、怒りが湧いてくる。

「こんなささやかな・・・・・楽しみさえも、奪われてしまうだなんて・・・・・・・・・・・……。許せない……!!」

 原因を作ったレイモン。それに、ベルティーユもそう!

「ベルティーユはあの時、ルナレーズ商会について言及していた……っ。どこかで、不正の情報を手に入れていた……っ。だったら……っっ」

 だったら、もっとちゃんと伝えなさいよ!! わたくしは何も知らないんだから、そんな人にも分かるようにしっかり伝えなさいよ!!

「あの時もっと詳しく説明してくれていたら、わたくしは信じたのに……っ。わたくしはレイモンとの関係を見直せて、こうはならなかったのに……っ! 手を引くからエンゲージリングも返していて、ロールが言う最後の一線も越えなかったのに……!!」

 そう思ったら、まだ怒りの炎が燃えが上がってきた。どうしても、言葉垂らずな・・・・・・ベルティーユが許せなくなった。
 だから……っ! お父様に相談をして――

しおりを挟む
感想 170

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。

しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。 だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

婚約破棄させたいですか? いやいや、私は愛されていますので、無理ですね。

百谷シカ
恋愛
私はリュシアン伯爵令嬢ヴィクトリヤ・ブリノヴァ。 半年前にエクトル伯爵令息ウスターシュ・マラチエと婚約した。 のだけど、ちょっと問題が…… 「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」 「おかしいわよね、お母様!」 「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」 「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」 という具合に、めんどくさい家族が。 「本当にすまない、ヴィクトリヤ。君に迷惑はかけないように言うよ」 「よく、言い聞かせてね」 私たちは気が合うし、仲もいいんだけど…… 「ウスターシュを洗脳したわね! 絶対に結婚はさせないわよ!!」 この婚約、どうなっちゃうの?

【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?

ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。 卒業3か月前の事です。 卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。 もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。 カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。 でも大丈夫ですか? 婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。 ※ゆるゆる設定です ※軽い感じで読み流して下さい

婚約破棄宣言は別の場所で改めてお願いします

結城芙由奈 
恋愛
【どうやら私は婚約者に相当嫌われているらしい】 「おい!もうお前のような女はうんざりだ!今日こそ婚約破棄させて貰うぞ!」 私は今日も婚約者の王子様から婚約破棄宣言をされる。受け入れてもいいですが…どうせなら、然るべき場所で宣言して頂けますか? ※ 他サイトでも掲載しています

婚約破棄にはなりました。が、それはあなたの「ため」じゃなく、あなたの「せい」です。

百谷シカ
恋愛
「君がふしだらなせいだろう。当然、この婚約は破棄させてもらう」 私はシェルヴェン伯爵令嬢ルート・ユングクヴィスト。 この通りリンドホルム伯爵エドガー・メシュヴィツに婚約破棄された。 でも、決して私はふしだらなんかじゃない。 濡れ衣だ。 私はある人物につきまとわれている。 イスフェルト侯爵令息フィリップ・ビルト。 彼は私に一方的な好意を寄せ、この半年、あらゆる接触をしてきた。 「君と出会い、恋に落ちた。これは運命だ! 君もそう思うよね?」 「おやめください。私には婚約者がいます……!」 「関係ない! その男じゃなく、僕こそが君の愛すべき人だよ!」 愛していると、彼は言う。 これは運命なんだと、彼は言う。 そして運命は、私の未来を破壊した。 「さあ! 今こそ結婚しよう!!」 「いや……っ!!」 誰も助けてくれない。 父と兄はフィリップ卿から逃れるため、私を修道院に入れると決めた。 そんなある日。 思いがけない求婚が舞い込んでくる。 「便宜上の結婚だ。私の妻となれば、奴も手出しできないだろう」 ランデル公爵ゴトフリート閣下。 彼は愛情も跡継ぎも求めず、ただ人助けのために私を妻にした。 これは形だけの結婚に、ゆっくりと愛が育まれていく物語。

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

私と婚約破棄して妹と婚約!? ……そうですか。やって御覧なさい。後悔しても遅いわよ?

百谷シカ
恋愛
地味顔の私じゃなくて、可愛い顔の妹を選んだ伯爵。 だけど私は知っている。妹と結婚したって、不幸になるしかないって事を……

処理中です...