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第2話 妹を待つもの ニノン視点(4)
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((………………。わたしのベッドや家具が………………おヴぇえ!?))
「こうしておけば、更に効果があるんだよ。念のため、ニノンにも振りかけておこう」
!! 心の中でパニックになってたら更に悪化した!!
頭や首、手足や服っ。全部に優しく粉が振られて、わたし自身から悪臭が放たれるようになっちゃったの!!
「これで、反撃の隙は少しもなくなった。あとは2時間待つだけで、その間暇になるね。臭いの誤魔化しにもなるし、カードゲームでもしようか?」
「ご、誤魔化せようが、ない、と、うぷっ。思い、ます、けど……。ど、どう、して……。うぶっ。サンティラス様は、平然と、してらっしゃるん、ですか……?」
この人は一切顔が歪んでいなくて、鼻をつまんでもいない。どうなってるの……!?
「庭で少し口にしていたのだけど、僕は慣れているんだよ。作る時はもっとひどい臭いが漂っていて、困っている人の為に何度も用意しているからね。このくらい、どうってことはないのさ」
誰かのために、自分を犠牲にできる。それはますます好きになっちゃう要素なんだけど、今はそれが嫌っ! あっても今は欲しくないっ!
だって平気なら、終了が早まることも中止されることもないんだもんっ!
「実は教会の方々からも、強い霊の時は制作の依頼が来るんだよ。以前レシピなどをお教えしたのだけれど、担当者が製造中に泡を吹いてしまったらしい」
その方々はマスクを装着していても、そうなっちゃったみたい。
…………。この人、なんなんだろ……。人間、なのかな…………。
「おっと、話が脱線してしまったね。2時間の辛抱だ。頑張って」
「は、はぃ。おぇ……っ。がんばり、うぷ、ます」
そうしてわたし達はトランプを始めて、
「そちらはストレート、こちらはツーペア。僕の負けだね」
((おべぇ……))
「ニノンは、21か。強いね」
((うヴぅ…………))
ポーカーをしたり、ブラックジャックをしたり、
「そういえば。こうして、ゆっくり2人で過ごすのは初めてだね」
((ぇぼ……))
「僕は最近、絵を描き始めたんだ。よかったら今度、モデルになってもらいたいな」
((びぃぃぃぃ……))
そんな風にお喋り(?)をしたり。
2人きりという、理想の時間が過ぎてゆく。
でも――。
でも――っ。
((うぶぇぇぇぇぇぇぇ……))
そうしているこの部屋は、臭い。臭すぎる……!
だから、全然楽しめなくって……。
覚えているのは、臭かった、ということだけ。
気が付くと2時間が経過していて、2人きりの時間は終わってしまったのでした……。
何もできずに、終わってしまったのでした…………。
「こうしておけば、更に効果があるんだよ。念のため、ニノンにも振りかけておこう」
!! 心の中でパニックになってたら更に悪化した!!
頭や首、手足や服っ。全部に優しく粉が振られて、わたし自身から悪臭が放たれるようになっちゃったの!!
「これで、反撃の隙は少しもなくなった。あとは2時間待つだけで、その間暇になるね。臭いの誤魔化しにもなるし、カードゲームでもしようか?」
「ご、誤魔化せようが、ない、と、うぷっ。思い、ます、けど……。ど、どう、して……。うぶっ。サンティラス様は、平然と、してらっしゃるん、ですか……?」
この人は一切顔が歪んでいなくて、鼻をつまんでもいない。どうなってるの……!?
「庭で少し口にしていたのだけど、僕は慣れているんだよ。作る時はもっとひどい臭いが漂っていて、困っている人の為に何度も用意しているからね。このくらい、どうってことはないのさ」
誰かのために、自分を犠牲にできる。それはますます好きになっちゃう要素なんだけど、今はそれが嫌っ! あっても今は欲しくないっ!
だって平気なら、終了が早まることも中止されることもないんだもんっ!
「実は教会の方々からも、強い霊の時は制作の依頼が来るんだよ。以前レシピなどをお教えしたのだけれど、担当者が製造中に泡を吹いてしまったらしい」
その方々はマスクを装着していても、そうなっちゃったみたい。
…………。この人、なんなんだろ……。人間、なのかな…………。
「おっと、話が脱線してしまったね。2時間の辛抱だ。頑張って」
「は、はぃ。おぇ……っ。がんばり、うぷ、ます」
そうしてわたし達はトランプを始めて、
「そちらはストレート、こちらはツーペア。僕の負けだね」
((おべぇ……))
「ニノンは、21か。強いね」
((うヴぅ…………))
ポーカーをしたり、ブラックジャックをしたり、
「そういえば。こうして、ゆっくり2人で過ごすのは初めてだね」
((ぇぼ……))
「僕は最近、絵を描き始めたんだ。よかったら今度、モデルになってもらいたいな」
((びぃぃぃぃ……))
そんな風にお喋り(?)をしたり。
2人きりという、理想の時間が過ぎてゆく。
でも――。
でも――っ。
((うぶぇぇぇぇぇぇぇ……))
そうしているこの部屋は、臭い。臭すぎる……!
だから、全然楽しめなくって……。
覚えているのは、臭かった、ということだけ。
気が付くと2時間が経過していて、2人きりの時間は終わってしまったのでした……。
何もできずに、終わってしまったのでした…………。
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