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第18話 その後の、3人 俯瞰視点

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「お父様、お母様……っ! お手洗いの外で物音がしましたわっっ!」

 マリエットが家を去ってから、一週間後の深夜。リビングスペースの扉が勢いよく開き、侍女を引き連れたミレーヌが血相を変えて飛び込んできました。

「何度も宝物を取り上げたりしていたからっ、きっとわたくしを狙った何かなんですわっ! トリスタンが言っていた『お礼』が始まったのですわ!!」
「っっ。あなたっ!」
「ああっ! お前達!! 至急外を――敷地内全てをくまなく確認するんだ!!」

 ソファーに横並びで座っていた父ドミニクと母ノエラは即座に立ち上がり、一週間前に雇ったトリスタン対策の用心棒屈強な男達10人が外へと飛び出します。
 そうして彼らは1階トイレの周辺を中心として隅々まで調べ、しかしながら、怪しい気配はなし。窓などに不自然な痕跡も侵入の気配もなく、それはミレーヌの気のせいでした。

「そう…………勘違いだったんですのね…………。よかった……」
「ええ。何事もなくてよかったわ」
「……そうだな、本当によかった。…………だが2人とも、気を抜いてはいけないぞ。いつ何が起こるのか、分からないのだからな」

 父ドミニクからすぐに安堵が消え、顔を強張らせて眠気覚ましのコーヒーを飲みます。

「侯爵家の人間が、あんな目で宣告してきたのだ。絶対に、それも…………かなりのことがある。……特に夜は人気(ひとけ)がなく、何かとやりやすいからな。引き続き、朝まで用心しよう」
「……そうね、あなた。注意しましょう」
「ええ。勿論ですわ……」


 あの視線に宿る怒りは、想像を絶する量だった――。
 あの目は、自分達の命を狙ってる目だった――。
 相手は侯爵家。その気になれば、証拠を残さず自然な形で自分達を消せるはず――。
 トリスタンなら、やり兼ねない――。


 そんな考えのある3人は頷き合い、一か所に固まって身構える――いつでも動けるようにします。
 何かあったら護衛に相手をさせ、自分達は安全圏まで逃げる。そうできるように、神経を集中させます。

「大丈夫……。大丈夫だ、ノエラ、ミレーヌ。高い金を払って、手練れをかき集めたんだ。我々に近づくことは、できない」
「え、ええ……」「きっと、そうですわ……」
「そして…………最初の侵入者を捕えれば、こちらのもの。その者を縛り上げて吐かせ、トリスタンの悪事を白日のもとにさらす。そうすれば奴は罪人となり、我々は自由の身となる……っ。恐らく、もう少しの辛抱だ。ノエラ、ミレーヌ、頑張ろう……!」

 そうして彼らは今日も一番危険な時間を起きて過ごし徹夜を行い、その時に備えます。そして――

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