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第17話 裁きの時 俯瞰視点

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「さっき、わたくしが刺したのに……。後ろで倒れていたのに……。どう、して……」
「答えは簡単だ。お前達の相手をしていたアレは、俺が創り出した俺のコピーだからだ」

 ずっと最初から別人。さっき殺したのは偽物だから、本物は生きているのです。

「なぜそんな面倒な真似をしたのか? それは、そうしないといけないルールがあるからだ」

 罪を数値化して、その分の罰を与える。
 もしも素直に罰を受けたら、その者は解放される。
 だがもしも――。
 約束を破ったら、その度合いに応じて新たな罰が下る。
 それが、13人に伏せられていた決まり――あちらの世界で罪人に課せられる、罰だったのです。

「今回は俺が関与しているのでな、そのついでに俺のやり方で裁くと決めたのだ。よかったな貴様ら。張り切った・・・・・ことによって、一番重い罰を受けられるようになったぞ」

 窃盗+殺害。その選択は、最悪のものでした。

「「「「「……………………」」」」」
「罰の内容が気になっているようだな? これから貴様らに降りかかる物は、消滅だ。それも、この世界からのな」

 肉体が消え、人々の記憶からも消える。
 文字通り、あらゆる『生きた証』がなくなってしまうのです。

「い、いや……。しにたく、ない……」
「しにたく、ない……」
「しぬのはいや……」
「「「「「いや……」」」」」
「貴様らもあの3匹と同じことを言うんだな? ふん。人は死んでもよく、自分はよくはない。そんな言い分通用しない」

 サンドラ達がなにもしなければ、なにも起きていなかった。『何か』をしてしまったから、『何か』が起きるだけ。
 竜神は身勝手に怯える13人を嗤い、パチンと指を鳴らします。そうすれば、全員の身体が真紅の光を放ち始め――

「みっ、ミシュリーヌにっ、ミシュリーヌ様に謝りますっ! ミシュリーヌ様の犬になります!!」
「俺もです!!」
「私もです!!」
「「「「「わたくし達もっ!!」」」」」
「反省していますから助けて助けて助けて!! もう二度と悪いことはしませんからおねが」
「通り過ぎてから振り返っても遅い。さらばだゴミ共」

 パリ パリ パリ  パリン

 ――輝いていた身体にヒビが入って砕け散り、13人の人間達はこの世から消えてしまったのでした――。





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