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第11話 お屋敷に逃げ帰ったあとは ザラ&レナエル視点(1)

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「なんだって!? あの作戦が失敗しただって!?」
「レナエルと、オーガスティン様は……。相思相愛じゃなかったですって!?」
「そう、なんですの……。わけが分からないことが、起きてしまいましたの……」

 朝会った際に打ち明けたら、勘違いをしていると言われたこと。仕方がないのでマリー様には嘘を吐いていて、明日までに何とかしないと大変な目に遭ってしまうこと。
 大急ぎでお屋敷に戻ったわたくしは、駆け寄ってきたお父様とお母様に早口で一部始終を説明した。

「そんな、バカな……。オーガスティン様が、完全に否定されただと……!?」
「あの子は寝言で、オーガスティン様を好きと言っていたのに……!? ざ、ザラっ。確かにあの子は、そう口にしていたのよね……!?」
「絶対に零していましたわっ! 間違いありませんわっ!」

 聞き間違えてる可能性は、絶対ない。確実に、『…………オーガスティン・テデファリゼ様……。……………………す、き……。………………だい、すき…………。…………あしたは、たのしみ……』と言っていたっ!

「じゃあ……。どうして、そうなるの……!?」
「わ、わたしにも分らんよ……。とっ、とりあえずもう一度張本人に確認をしてみようじゃないかっ! ジュリー、ザラっ、レナエルの部屋に行くぞ!」

 そうしてエントランスにいたわたくし達は、大急ぎで階段をのぼって行って――


 〇〇


「レナエル!! お前はオーガスティン様を愛していたのではないのか!? 夜会で交際の話を断っていたというのは事実なのか!?」

 窓際で読書をしていると――壊れてしまいそうな勢いで部屋の扉が開き、お父様、お母様、ザラが血相を変えて飛び込んできました。
 どうやらマリー様に怯えて解消すると決め、その際に『相思相愛ではない』と気付いたようです。

「レナエルっ、そうなの!? あなたはオーガスティン様を愛していなかったというの!?」
「…………いえ、お父様お母様。私はあの方をお慕いしており、夜会では有難くお約束をさせていただきましたよ」

 もしもこの場で真実を打ち明けたら3人は激昂し、そうなれば私は『いただいているもの』を使用せざるをえなくなります。ですがそうしてしまえばチャールス様に余計なご迷惑がかかってしまいますので、嘘をついておきました。
 そして――

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