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第13話 嫌な再会 ミシェル視点(1)

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「ミシェル様っ! ミシェル様っ!」
「ミシェル様っ! ミシェル様っ!」
「…………………………ぅ。だ、れ……? 誰が、わたくしを呼んで――な!?」

 気がついたら手足を縛られていて、台――手術台のようなものに、固定されていた。
 なにがおき――そうだった……。思い出した……。

『ローレヴァル子爵家。実を言いますと我が家(いえ)は、ただの子爵家ではありません。ローレヴァル家はとあるふたつの役割を王家より賜った家のひとつであり、わたしはその任務を帯びている『国の影』なのですよ』

 わたくし達がストレスを発散していた女、子爵令嬢ジネット。あの女は、ただの子爵令嬢ではなかった。
 恐ろしい使命を帯びていた、恐ろしい女だった……。

「お気づきになられたのですねっ! 横ですっ! 右です!」
「ミシェル様っ! 左ですっ! 私(わたくし)は左にいます!」
「みぎ……? 左……? だれ――貴方たち!!」

 ずっとわたくしを呼んでいたのは、エリア―ヌさんとクレールさん。2人も台に縛り付けられていて、どちらも顔を涙まみれにして泣きじゃくっていた。

「ジネット! ミシェル様の声で騙されてしまってっ、捕まっていたんです!!」
「私はミシェル様になりすましたジネットに捕まったんですっ! ずっとお会いしたかったですっ!」
「っっ。わたくしは会いたくなかったわよ!! なんなのここ!? これからなにをされるというの!?」

 この人達とは二度と会いたくなかった。ずっと平和なままで楽しく暮らしていきたかった。
 この真っ白の部屋はなに!? なんなの!?

「わっ、分かりません!! ずっと暗くて汚い場所に監禁されていてっ! 眠らされた状態でさっき連れてこられたんです!」
「私も! ずっと同じような場所に監禁されていてっ、なにも分からないんです!」
「っ、この役立たず!! なんで分からないのよ!! 先に捕まっていたのなら把握しておきなさいよ!! 脱出できるようにっ、なにかを仕込んでおきなさいよ!! 路傍の石以下のゴミ共!!」

 なんて役立たずなの……! こいつらのせいで――

「えっ、偉そうに言うな!! 元はと言えば貴女のせいでこうなったのよ!!」
「そうよ! アナタがジネットを攻撃するなんて言い出さなければっ、私たちは目をつけられなかった! 全部アナタのせい!! 元凶が偉そうにするな!! そっちが責任をとりなさいよ!!」
「ちゃんと言い出しっぺは自分ですって伝えてっ、わたくし達を解放するように頼みなさいよ!!」

 !!!!! なんですって……!?

「いつもニヤニヤしていたじゃないのよ!! わたくしの地位を使って楽しんでいたじゃないのよ!! ひとのせいにするな!! むしろさんざんお世話になったんだからっ、恩人のために進んで犠牲になりなさいよ!!」
「違う!! 私は断り切れずにやっただけ!! 内心は嫌だったのよ!!」
「逆らったらこっちが攻撃されそうだから渋々従っていたのよ!! だから全部あんたのせいよ!!」
「嘘を吐くなぁあああ!! あんなにも活き活きしていたくせに――」
「あらあら、随分と活きの良い方々ですね。……それでは始めましょうか。ミシェル様、エリア―ヌ様、クレール様」

 ………………。部屋の扉が開いて、手ぶらのジネットと、様々な医療器具を携えた白衣姿の男女が12人入って来た。
 アレは……注射やメス……。なにに、使うの……!?
 まさか――


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