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第5話 困惑 ミシェル視点
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「たいがく……!? エリア―ヌさんが……!?」
「はい……。宿舎の入り口でエリア―ヌさんの帰りを待っていると、後ろで荷物の運搬作業がはじまりまして……。不思議に思い近くに居た先生に訪ねてみたら……。本日付で自主退学をされたと、仰られました……」
今朝早くに、エリア―ヌさんのお父様が――マナサリア子爵家の当主が、じきじきにいらしていて……。その旨を学院長先生に伝えた、らしい……。
「そんな……。バカな……。自主退学だなんて……。な、なにかの間違い……その方の、勘違いじゃないんですの……!?」
学院を退学する。それはどのような事情があれ貴族界では『大きな傷』が残ってしまうもので、今後の人生に大きな悪影響を及ぼしてしまう。まともな家なら、交際、婚約の話を持ち掛けてこなくなってしまうものなのに……。
退学、した……!?
「き、きっとそうですわっ。荷物の運搬作業は、何かしらの別の理由で行っているだけ。エリア―ヌさんはすぐ戻ってきますわよ」
「……いえ、勘違いではありません……。他の先生方にも……。学院長先生ご本人にも、確認しております……」
「……………………」
クレールさんも何かの間違いだと思い、複数人に確認をした……。
その場にいた教師陣ならともかく、ここのトップである学院長が間違えるはずはない……。エリア―ヌさんの退学は、事実、なんですわ……。
「ど、どうしてなの……!? 自主退学だなんて……。どうしてそんなことになっているんですの……!?」
「理由は、まったく分かりません。詳細は箝口令が敷かれていて、推測することしかできないのですが……。直前……前日まで、エリア―ヌさんにそんな素振りはありませんでしたので……。昨日の欠席…………お家に戻られた際に、何かがあったと見れる、のですが……。それは…………」
「ええ……。それはそれで、有り得ませんわ……」
だってさっき言ったように、退学なんてしてしまえば『大きな傷』が残ってしまう。
特にエリア―ヌさんの家は『子爵家』で、殊更に娘に傷がつくと不味い。どんなに深刻な問題が発生したとしても、退学なんてさせない。せめて休学にしますわ……。
「それに……。有り得ないことは、まだありますわよ……。なぜ…………わたくし達に一切、連絡がないんですの……!?」
わたくし達は入学してからずっと一緒にいた。そんな相手に一言も残さないなんて、おかしい。お父様がいらっしゃったのなら、手紙くらい渡すように頼むはずですわ。
「は、はい……。そちらも……。仰るとおりで、ございます……」
「…………なんなんですの……!? どうなってるんですの……!?」
何もかも、ワケが分からない。
なにが起きているの……!?
○○
仲間の突然の自主退学を知り、混乱するミシェル。
そんな彼女は、まだ知りません。
まもなく、更に混乱する羽目になることを――。
「はい……。宿舎の入り口でエリア―ヌさんの帰りを待っていると、後ろで荷物の運搬作業がはじまりまして……。不思議に思い近くに居た先生に訪ねてみたら……。本日付で自主退学をされたと、仰られました……」
今朝早くに、エリア―ヌさんのお父様が――マナサリア子爵家の当主が、じきじきにいらしていて……。その旨を学院長先生に伝えた、らしい……。
「そんな……。バカな……。自主退学だなんて……。な、なにかの間違い……その方の、勘違いじゃないんですの……!?」
学院を退学する。それはどのような事情があれ貴族界では『大きな傷』が残ってしまうもので、今後の人生に大きな悪影響を及ぼしてしまう。まともな家なら、交際、婚約の話を持ち掛けてこなくなってしまうものなのに……。
退学、した……!?
「き、きっとそうですわっ。荷物の運搬作業は、何かしらの別の理由で行っているだけ。エリア―ヌさんはすぐ戻ってきますわよ」
「……いえ、勘違いではありません……。他の先生方にも……。学院長先生ご本人にも、確認しております……」
「……………………」
クレールさんも何かの間違いだと思い、複数人に確認をした……。
その場にいた教師陣ならともかく、ここのトップである学院長が間違えるはずはない……。エリア―ヌさんの退学は、事実、なんですわ……。
「ど、どうしてなの……!? 自主退学だなんて……。どうしてそんなことになっているんですの……!?」
「理由は、まったく分かりません。詳細は箝口令が敷かれていて、推測することしかできないのですが……。直前……前日まで、エリア―ヌさんにそんな素振りはありませんでしたので……。昨日の欠席…………お家に戻られた際に、何かがあったと見れる、のですが……。それは…………」
「ええ……。それはそれで、有り得ませんわ……」
だってさっき言ったように、退学なんてしてしまえば『大きな傷』が残ってしまう。
特にエリア―ヌさんの家は『子爵家』で、殊更に娘に傷がつくと不味い。どんなに深刻な問題が発生したとしても、退学なんてさせない。せめて休学にしますわ……。
「それに……。有り得ないことは、まだありますわよ……。なぜ…………わたくし達に一切、連絡がないんですの……!?」
わたくし達は入学してからずっと一緒にいた。そんな相手に一言も残さないなんて、おかしい。お父様がいらっしゃったのなら、手紙くらい渡すように頼むはずですわ。
「は、はい……。そちらも……。仰るとおりで、ございます……」
「…………なんなんですの……!? どうなってるんですの……!?」
何もかも、ワケが分からない。
なにが起きているの……!?
○○
仲間の突然の自主退学を知り、混乱するミシェル。
そんな彼女は、まだ知りません。
まもなく、更に混乱する羽目になることを――。
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