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第4話 ひとつめの異変 俯瞰視点(1)

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「? こんな遅い時間に、なんなのかしら……?」

 すっかり夜が更けた、午前0時55分。マナサリア子爵令嬢エリア―ヌは自室にて、首を傾げなら外出の準備をしていました。
 深夜にこのような行動を取っている理由。それは今から55分前、深夜0時になったばかりの時に起きたことにありました。

『いいこと? 扉を開けずに聞きなさい』
『え!?  は、はい……』
『このあと午前1時ちょうどに、わたくしの部屋に来なさい。侍女を連れずにひとりで』
『……。え……? ひとりで、ですか……?』
『そう言っているでしょう。この寮内の移動だし、大した距離はないから問題はありませんわ。少しでも遅れたら、許しませんわよ』

 眠っているとノックの音が聞こえてきて、部屋の扉の向こうからそんなミシェルの声が聞こえてきたのです。

「深夜に、お話しすること……? たったひとりで行かないといけないこと……? しかも、扉を開ける暇もなく……素早く、ミシェル様が自ら伝えなければならないこと……? 何なのかしら……?」
「お嬢様。思い当たることは、ございませんか……?」
「まったくないわ。例の計画――ブノワ・マナハーツの件かと一瞬思ったけれど、ミシェル様――私(わたくし)たちも含めて、関与は一切疑われてはいない。次の攻撃の準備も順調に進んでいるし、緊急的に相談する必要はないのよね……?」
「確かに……。その通りでございますね」
「でも……。緊急で、しかも密かに伝えないといけないことが、ある……」

 明日は登校する前に用事があるため朝に食堂で会えないものの、その数十分後には学舎で会える。7時間程度も待てないことがあるということのため、エリア―ヌの表情は自然と引き締まりました。

「……もしかしたら、なにかしらのお手伝いが必要――私も、急いで動かないといけない問題が起きているのかもしれないわ。念のため、貴方もすぐに動ける状態で待っていてちょうだい」
「承知いたしました。お嬢様、お気をつけて」
「ええ。出掛けてくるわ」

 深夜という人気(ひとけ)がまったくない時間ではありますが、ここは貴族の令嬢や令息が暮らす寮の中――無関係な第三者が絶対に侵入できない場所となっています。そのため不安を覚えることなく、エリア―ヌは廊下を進んでいきます。

「……悪いことではないといいけれど……。どうか、良い内容でありますように」

 夜に良い物が手に入り、親しい人間に自慢をしたくなった――。など、楽しい話題が待っていますように。
 そんなことを呟きながら真っすぐの道を歩んでいき、しばらく進んだ先にある十字路を右へと曲がります。そうして正面にある階段を使い、ミシェルの部屋がある2階へと――降りようとした、その時でした。

「ようこそ。お待ちしていました」
「え!? なぜ貴方がここに……!?」

 突然、真後ろ――耳元で、聞き覚えのある声が聞こえてきて――
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