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第1話 そんなミシェル達は 俯瞰視点(2)
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「わぁっ。さすがでございますっ、ミシェル様!」
「わたくしたちとは、頭の作り、使い方がまるで違います……! やはり、ミシェル様は聡明であらせられますねっ!」
「お嬢様、今回もお見事でございます。よろしければ、その内容を教えていただけますでしょうか?」
「ええ、教えてあげますわ。どうすればそんな風になるのか? その答えは、『ジネットの宝物を傷付ける』ですわよ」
羨望の眼差しと拍手を浴びたミシェルはにんまりとし、そんな言葉と表情を見て聞いた3人はキョトンとしました。
「「「……宝物を、傷つける……? そちらは、無理なのでは……?」」」
「そうね、さっき言ったように無理。だから、そっちではない方の『宝物』に狙いを定めるんですのよ」
「「「??? ではない方の、たからもの、ですか……?」」」
「そう、ではない方の宝物。具体的に言うと、ブノワ・マナハーツですわ」
ミシェルとクレールが所属するクラスから見て3つ隣、エリアーヌが所属するクラスからは1つ隣のクラスに所属する、子爵令息。ジネットの婚約者の名前を挙げました。
「噂によるとジネットとブノワ・マナハーツは幼い頃から交友があり、当主同士が決めた婚約であるものの、互いに恋愛感情を抱いているそうですのよね。と、いうことは?」
「「「ブノワ・マナハーツに何かがあると、ジネットは深く悲しむ……!」」」
「大正解。違う角度から攻めて、がつんとダメージを与えるんですのよ」
ジネット自身に攻撃をしても効果がないなら、ジネット以外に攻撃をする。
大好きな人が傷ついて悲しまない人間はいない。
ミシェルは自身の経験からそう確信していて、勢いよく指をパチンと鳴らしました。
「実際にわたくしが、そうだった。ライバル令嬢と婚約してしまった侯爵令息がかつて――…………なんでもありませんわ。なんでもないから全員今のは忘れなさい」
「「「は、はいっ!」」」
「とにかく、ブノワ・マナハーツを傷付けたら目標は達成できますわ。アンナ!」
「はいお嬢様っ!」
「これから――今日はもうブノワ・マナハーツが男子寮から出てこないから、できないわね。明日隙を見つけて、ブノワ・マナハーツに怪我を負わせなさい」
ミシェルに――侯爵家の長女に仕える侍女、アンナ。彼女は立場上『お世話係』以外のスキルも身に着けており、そういった暗躍も可能でした。
「貴女、変装も得意だったでしょう? 適当な人間に成りすまして、ブノワ・マナハーツをやって頂戴」
「承知いたしました。わたくしめにお任せを」
そうして醜悪な方針が決まってしまい、その計画は翌日本格的に動き出します。使命を帯びたアンナは、とある生徒に変装をして学舎へと忍び込み――
「わたくしたちとは、頭の作り、使い方がまるで違います……! やはり、ミシェル様は聡明であらせられますねっ!」
「お嬢様、今回もお見事でございます。よろしければ、その内容を教えていただけますでしょうか?」
「ええ、教えてあげますわ。どうすればそんな風になるのか? その答えは、『ジネットの宝物を傷付ける』ですわよ」
羨望の眼差しと拍手を浴びたミシェルはにんまりとし、そんな言葉と表情を見て聞いた3人はキョトンとしました。
「「「……宝物を、傷つける……? そちらは、無理なのでは……?」」」
「そうね、さっき言ったように無理。だから、そっちではない方の『宝物』に狙いを定めるんですのよ」
「「「??? ではない方の、たからもの、ですか……?」」」
「そう、ではない方の宝物。具体的に言うと、ブノワ・マナハーツですわ」
ミシェルとクレールが所属するクラスから見て3つ隣、エリアーヌが所属するクラスからは1つ隣のクラスに所属する、子爵令息。ジネットの婚約者の名前を挙げました。
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「「「ブノワ・マナハーツに何かがあると、ジネットは深く悲しむ……!」」」
「大正解。違う角度から攻めて、がつんとダメージを与えるんですのよ」
ジネット自身に攻撃をしても効果がないなら、ジネット以外に攻撃をする。
大好きな人が傷ついて悲しまない人間はいない。
ミシェルは自身の経験からそう確信していて、勢いよく指をパチンと鳴らしました。
「実際にわたくしが、そうだった。ライバル令嬢と婚約してしまった侯爵令息がかつて――…………なんでもありませんわ。なんでもないから全員今のは忘れなさい」
「「「は、はいっ!」」」
「とにかく、ブノワ・マナハーツを傷付けたら目標は達成できますわ。アンナ!」
「はいお嬢様っ!」
「これから――今日はもうブノワ・マナハーツが男子寮から出てこないから、できないわね。明日隙を見つけて、ブノワ・マナハーツに怪我を負わせなさい」
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「承知いたしました。わたくしめにお任せを」
そうして醜悪な方針が決まってしまい、その計画は翌日本格的に動き出します。使命を帯びたアンナは、とある生徒に変装をして学舎へと忍び込み――
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