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第6話 17年 ~選択と再会~ クリストフ視点(3)

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「…………言い訳は聞きたくありませんわ。それにアナタと、長々と話したくもありませんわ」

 俺は、真実だけを口にしているのに……! ベルは何を言っても、聞く耳を持ってはくれなくて…………。
 三角形のフォーメーションで俺を取り囲んでいる、3人の男たちを見回した。

「ですからそろそろ、死んでいただきますわ。わたしが雇った彼らに、たっぷりと暴行された上でね」
「まっ、待ってくれ! ちゃんと話を聞いてくれ!! 違うんだ!! 俺は悪くないっ!! 悪いのはあの女で――」
「いいえ、悪いのはアナタですわ。だってアナタがあんな風に行ったり来たりしなければ、何も起こらなかった。わたしがあんな目に遭うことも、アナタに目をつけることもなかったんですもの」
「め、めをつける……? ベル、まさかお前は……」
「意趣返しになりますしね、教えてあげましょうか。ええ、そうですわ。わたしは、アナタには興味がなかった。侯爵夫人というポジションに興味があったんですの」

 …………知らなかった。そんなことがあるなんて、思ってもみなかった……。
 コイツは俺が声をかけたことで、チャンスだと感じるようになって……。良い地位を得るために、ずっと…………。心にもないことを言っていた…………。


『その時期は辛いことがあったのですけれど、クリストフ様とお話ししていると心の痛みが和らぎました』

『いけないことなのですが、特別な感情を抱いてしまっております』


 あれは、本心ではない。適当に言っていたことだった…………。

「そ、そんな……。じゃ、じゃあっ、おっ、お前にも責任があるんじゃないか!! いやっ、むしろお前のせいだ!! お前がそんなことを企まなければ何も起きていないんだ!! お前が悪いんじゃないか!!」

 そうっ! そうなんだっ!
 アイツがあんな風に返さなければ、俺は心変わりをしていなかった!! コイツもまた元凶だったんだ!!

「なのに、被害者ぶりやがって……!! ふざけるなよ……!! 絶対に許さない――」
「別に、許してもらわなくてもいいわ。17年前とは違って、今のアナタは何も持たない凡人なんですもの。ちっとも怖くはありませんわ」

 っっっ!! ベルは大仰に嘲笑を浮かべ、ぐううううう……!!
 悔しいが何もできずにいたら、

「なので、簡単に潰せてしまいますの。……さあ皆さん、やってくださいまし」

 ヤツは嗜虐的に顎をしゃくり、3人の男は静かに頷いたのだった……。

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