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第4話 一つ目の代償によって~クリストフside~ 俯瞰視点(1)
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「おお、戻ったかクリストフ。今回の件は、残念だったな――クリストフ? どうしたのだ?」
ラトーレルア侯爵邸の、エントランス。そこで可愛い息子と5人の治安局員を迎えた当主であり父ヴァランタンは、首を傾げました。
((? 様子が変だな……?))
カフェテリアにて婚約者フルールの罪を明るみにし、治安局沙汰にする――。その後の処理などを行うため、治安局員と共に一旦この屋敷に戻って来る――。クリストフと共に治安局に向かったり、レファネッサル家の人間と婚約破棄に関する話し合いを行ったりする――。
それが、ヴァランタンが想定していた今日のスケジュールでした。
しかしながらクリストフは、妙にスッキリとした表情をしており――打ち合わせしていた沈痛な面持ちではなかったため、彼はこんな反応をしていたのでした。
「うむ? 最愛の人との縁が切れたのは…………残念ではあるが、この段階で気が付けてよかった。と、いうことなのか?」
「いえ、父上。そうではありません」
「んん? では、なにゆえそんな表情になっているのか?」
ヴァランタンは皆目見当がつかず、腕組みをして眉を寄せました。そうすると息子クリストフは――
「捏造や工作、全ての罪を白状した。最後まで道を踏み外さずに済んだこと、そちらに対する安堵がこうさせているのですよ」
――予想だにしないことを、嬉々として口にしたのでした。
「なあっ!? クリストフ!? おまっ、お前はなにを言っているんだ!?」
「事実を言っているのですよ。……父上。俺は気が付いたのですよ」
カフェテリアで偶然鏡を見て、考えが変わったこと。それによって証拠は捏造だと認めたこと。ベルと秘密裏に関係を持っていたと打ち明けたこと。治安局トップと以前から繋がっていたと告白したこと。
クリストフはやけに爽やかな表情で説明し、当然――
「ばっ、馬鹿を言うな!! 滅茶苦茶な嘘を吐くんじゃない!!」
――ヴァランタンは、即座に否定します。ですがそれは同じく即座に、無意味なものとなってしまいます。
「これから嘘ではないという証を、治安局の方々に提示します。皆様、証拠隠滅の恐れがあります。まずは父の拘束をお願いします」
そんな息子の要請によりあっという間に自由を奪われてしまい、そうして――
ラトーレルア侯爵邸の、エントランス。そこで可愛い息子と5人の治安局員を迎えた当主であり父ヴァランタンは、首を傾げました。
((? 様子が変だな……?))
カフェテリアにて婚約者フルールの罪を明るみにし、治安局沙汰にする――。その後の処理などを行うため、治安局員と共に一旦この屋敷に戻って来る――。クリストフと共に治安局に向かったり、レファネッサル家の人間と婚約破棄に関する話し合いを行ったりする――。
それが、ヴァランタンが想定していた今日のスケジュールでした。
しかしながらクリストフは、妙にスッキリとした表情をしており――打ち合わせしていた沈痛な面持ちではなかったため、彼はこんな反応をしていたのでした。
「うむ? 最愛の人との縁が切れたのは…………残念ではあるが、この段階で気が付けてよかった。と、いうことなのか?」
「いえ、父上。そうではありません」
「んん? では、なにゆえそんな表情になっているのか?」
ヴァランタンは皆目見当がつかず、腕組みをして眉を寄せました。そうすると息子クリストフは――
「捏造や工作、全ての罪を白状した。最後まで道を踏み外さずに済んだこと、そちらに対する安堵がこうさせているのですよ」
――予想だにしないことを、嬉々として口にしたのでした。
「なあっ!? クリストフ!? おまっ、お前はなにを言っているんだ!?」
「事実を言っているのですよ。……父上。俺は気が付いたのですよ」
カフェテリアで偶然鏡を見て、考えが変わったこと。それによって証拠は捏造だと認めたこと。ベルと秘密裏に関係を持っていたと打ち明けたこと。治安局トップと以前から繋がっていたと告白したこと。
クリストフはやけに爽やかな表情で説明し、当然――
「ばっ、馬鹿を言うな!! 滅茶苦茶な嘘を吐くんじゃない!!」
――ヴァランタンは、即座に否定します。ですがそれは同じく即座に、無意味なものとなってしまいます。
「これから嘘ではないという証を、治安局の方々に提示します。皆様、証拠隠滅の恐れがあります。まずは父の拘束をお願いします」
そんな息子の要請によりあっという間に自由を奪われてしまい、そうして――
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