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第3話 異常 クリストフ視点(6)
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「どちらが正しいか、これによって証明されたな。皆(みな)、俺とベルは秘密裏に関係を持っていたんだよ」
「ち、ちが……。ちがい、ますわ……。これは…………。ちがい、ますの……っ」
このまま『関係あり』だと確定してしまったら、大変なことになってしまう。だからベルは、顔面蒼白になりながらも否定を行う。
頼む、頼むベル……っ。上手い言い訳を、見つけてくれ……!
「違う? ネックレスという明白な証拠があるのに、違うというのか? じゃあその理由を教えてくれ」
すまない、ベル……! 俺は、こんなことを言いたくないんだ……。ベルを、応援しているんだ……!
俺に、負けないでくれ……っ。どうにか、この危機を乗り越えてくれ……っ!
「自らの意思であの刻印があるものを身に着けていたのに、そうじゃない。ではなんのために着けていたんだ?」
「そ、それは……。それは……」
「それは、なんだ? どういった経緯で、そこにあったんだ?」
「それは……。それは…………。それは…………………………。めっ、命令されていたのですわ!」
二十秒以上は、空白があっただろう。黒目を激しく上下左右に動かしていたベルは、どもりながら大声を出した。
め、めいれい……!?
「皆様っ! 実を言いますとわたしも脅迫されていましたのっ! 圧倒的権力を持った恐ろしい存在に、そうしろと脅迫されていましたの!!」
『『『『『……………………』』』』』
「実は実は『フルールを追い詰めたあと、自らの罪だとして明かせ』『次にそれを否定しろ』『否定したあとネックレスに言及しろ』『あらかじめネックレスをつけて事実だと思い込ませろ』『そうしてお前達は白眼視をされろ』! こういったシナリオを組み立てられておりましてっっ! わたしは――わたし達はその通りに動いていただけなんですのっ」
『『『『『……………………』』』』』
「相手の意図目的は、一切分かりませんっ。ですが『敵』はあまりにも強大で、従わざるを得なかったのですっ! 実際に関係は一切持っていないのに、持っていると明かさないといけなかったのですっ! 逆らったり誰かに伝えたりするとどこに居ても即殺すと脅されていてっっ。仕方なく行っていただけなのです――えっ!? みっ、皆様っ!? なんなのですかっ!? なぜ白い目で見るのですかっ!?」
その理由は…………言い分が、あまりにも滅茶苦茶だから……。
どこに居ても即殺すと言われているのに言及して生きている点、などなど。矛盾不自然が多々あるから、嘘だと一瞬でバレてしまったんだ……。
((……これでは、もう……))
挽回は無理で――っっ!?
「これで、偽りだと確定した。では次は2つめ、『捏造』に関する証拠を提示しようじゃないか」
ま、まだ終わらせはくれない……。へたり込んだベルを尻目に、俺の身体はまた独りでに動き出して――。
更に、大変なことに……。なっていって、しまうのだった…………。
「ち、ちが……。ちがい、ますわ……。これは…………。ちがい、ますの……っ」
このまま『関係あり』だと確定してしまったら、大変なことになってしまう。だからベルは、顔面蒼白になりながらも否定を行う。
頼む、頼むベル……っ。上手い言い訳を、見つけてくれ……!
「違う? ネックレスという明白な証拠があるのに、違うというのか? じゃあその理由を教えてくれ」
すまない、ベル……! 俺は、こんなことを言いたくないんだ……。ベルを、応援しているんだ……!
俺に、負けないでくれ……っ。どうにか、この危機を乗り越えてくれ……っ!
「自らの意思であの刻印があるものを身に着けていたのに、そうじゃない。ではなんのために着けていたんだ?」
「そ、それは……。それは……」
「それは、なんだ? どういった経緯で、そこにあったんだ?」
「それは……。それは…………。それは…………………………。めっ、命令されていたのですわ!」
二十秒以上は、空白があっただろう。黒目を激しく上下左右に動かしていたベルは、どもりながら大声を出した。
め、めいれい……!?
「皆様っ! 実を言いますとわたしも脅迫されていましたのっ! 圧倒的権力を持った恐ろしい存在に、そうしろと脅迫されていましたの!!」
『『『『『……………………』』』』』
「実は実は『フルールを追い詰めたあと、自らの罪だとして明かせ』『次にそれを否定しろ』『否定したあとネックレスに言及しろ』『あらかじめネックレスをつけて事実だと思い込ませろ』『そうしてお前達は白眼視をされろ』! こういったシナリオを組み立てられておりましてっっ! わたしは――わたし達はその通りに動いていただけなんですのっ」
『『『『『……………………』』』』』
「相手の意図目的は、一切分かりませんっ。ですが『敵』はあまりにも強大で、従わざるを得なかったのですっ! 実際に関係は一切持っていないのに、持っていると明かさないといけなかったのですっ! 逆らったり誰かに伝えたりするとどこに居ても即殺すと脅されていてっっ。仕方なく行っていただけなのです――えっ!? みっ、皆様っ!? なんなのですかっ!? なぜ白い目で見るのですかっ!?」
その理由は…………言い分が、あまりにも滅茶苦茶だから……。
どこに居ても即殺すと言われているのに言及して生きている点、などなど。矛盾不自然が多々あるから、嘘だと一瞬でバレてしまったんだ……。
((……これでは、もう……))
挽回は無理で――っっ!?
「これで、偽りだと確定した。では次は2つめ、『捏造』に関する証拠を提示しようじゃないか」
ま、まだ終わらせはくれない……。へたり込んだベルを尻目に、俺の身体はまた独りでに動き出して――。
更に、大変なことに……。なっていって、しまうのだった…………。
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