40 / 42
第25話 声
しおりを挟む
「……………………出た。出ました。声が出ました……!」
あの日から3日後。最後のアーカイブを見たあと。
勝手に、でした。
『ありがとうございます』
そんな言葉が口から出て、声が出るようになったと気付きました……!
「翔くんっ。出たっ。出ましたっ」
「はい。可愛らしいお声、確かに聞きました。おめでとうございます」
「ありがとうございます……! また翔くんに。視聴者の皆さんに。手を引っ張ってもらいました」
翔くん。
視聴者さん。
コメント欄。
SNSの呟き。
色んな人、声、言葉に支えられて、今の気持ちが――今のわたしがあります。
本当に。本当に本当に。
ありがとうございます。
「そんな視聴者さん達がずっと楽しみにしてくれていて、わたし自身もずっと楽しみにしてたこと。お顔のお披露目に間に合ってよかったです」
いろんな場所でそういうお声や文字を見ていて、その日はわざわざ予定を空けてくれていた人も何人もいてくれました。
真の葉月ミアのスタートとなる配信で、わたしも特別な思いがありました。
そんな配信に間に合って、よかったです……!
「ふふ、そうですね。ではコミュニティの欄を更新しておきますね」
『ごめんなさい。機材の調子が悪くて、しばらく配信はお休みになります』
『9月1日には間に合わせるつもりです』
チャンネル内にある葉月ミアの予定を書くスペースには、数日前からこんなことを書いてもらっていました。
それを見た視聴者さんは、コメント欄でずっと寂しそうにしてくれていました。
でも!
『ご心配をおかけしました! 機材が直って、明日は予定通りにお披露目配信をします!!』
声が戻ったので久しぶりに明るい報告をすることができて、
《おかえり!》
《よかった~》
《楽しみにしてます》
《待ってるね》
などなど。
心配をおかけしていた視聴者さんに、明るい反応をしてもらうことができたのでした。
「皆さん、とっても喜んでくれてますっ。必ず成功させます……!」
「僕も引き続き、精一杯お手伝いをさせていただきます。早速ですが、お披露目配信に関する打ち合わせを行いますか?」
「はいっ、もちろん行いますっ。よろしくお願いしますっ!」
お披露目配信の打ち合わせがずっとできてなくって、しっかりしておかないと良い配信にならない。皆さんに喜んでもらえなくなっちゃう。
なのでお父さんとお母さん、翔くんのお父さんとお母さん、真鈴さんに『声が出ました』って連絡したあと、翔くんと話し合いを始めて――
1日後。
ついに、お披露目配信が始まったのでした!
あの日から3日後。最後のアーカイブを見たあと。
勝手に、でした。
『ありがとうございます』
そんな言葉が口から出て、声が出るようになったと気付きました……!
「翔くんっ。出たっ。出ましたっ」
「はい。可愛らしいお声、確かに聞きました。おめでとうございます」
「ありがとうございます……! また翔くんに。視聴者の皆さんに。手を引っ張ってもらいました」
翔くん。
視聴者さん。
コメント欄。
SNSの呟き。
色んな人、声、言葉に支えられて、今の気持ちが――今のわたしがあります。
本当に。本当に本当に。
ありがとうございます。
「そんな視聴者さん達がずっと楽しみにしてくれていて、わたし自身もずっと楽しみにしてたこと。お顔のお披露目に間に合ってよかったです」
いろんな場所でそういうお声や文字を見ていて、その日はわざわざ予定を空けてくれていた人も何人もいてくれました。
真の葉月ミアのスタートとなる配信で、わたしも特別な思いがありました。
そんな配信に間に合って、よかったです……!
「ふふ、そうですね。ではコミュニティの欄を更新しておきますね」
『ごめんなさい。機材の調子が悪くて、しばらく配信はお休みになります』
『9月1日には間に合わせるつもりです』
チャンネル内にある葉月ミアの予定を書くスペースには、数日前からこんなことを書いてもらっていました。
それを見た視聴者さんは、コメント欄でずっと寂しそうにしてくれていました。
でも!
『ご心配をおかけしました! 機材が直って、明日は予定通りにお披露目配信をします!!』
声が戻ったので久しぶりに明るい報告をすることができて、
《おかえり!》
《よかった~》
《楽しみにしてます》
《待ってるね》
などなど。
心配をおかけしていた視聴者さんに、明るい反応をしてもらうことができたのでした。
「皆さん、とっても喜んでくれてますっ。必ず成功させます……!」
「僕も引き続き、精一杯お手伝いをさせていただきます。早速ですが、お披露目配信に関する打ち合わせを行いますか?」
「はいっ、もちろん行いますっ。よろしくお願いしますっ!」
お披露目配信の打ち合わせがずっとできてなくって、しっかりしておかないと良い配信にならない。皆さんに喜んでもらえなくなっちゃう。
なのでお父さんとお母さん、翔くんのお父さんとお母さん、真鈴さんに『声が出ました』って連絡したあと、翔くんと話し合いを始めて――
1日後。
ついに、お披露目配信が始まったのでした!
10
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?二本目っ!まだまだお相手募集中です!
月芝
児童書・童話
世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。
ひょんなことから、それを創り出す「剣の母」なる存在に選ばれてしまったチヨコ。
天剣を産み、これを育て導き、ふさわしい担い手に託す、代理婚活までが課せられたお仕事。
いきなり大役を任された辺境育ちの十一歳の小娘、困惑!
誕生した天剣勇者のつるぎにミヤビと名づけ、共に里でわちゃわちゃ過ごしているうちに、
ついには神聖ユモ国の頂点に君臨する皇さまから召喚されてしまう。
で、おっちら長旅の末に待っていたのは、国をも揺るがす大騒動。
愛と憎しみ、様々な思惑と裏切り、陰謀が錯綜し、ふるえる聖都。
騒動の渦中に巻き込まれたチヨコ。
辺境で培ったモロモロとミヤビのチカラを借りて、どうにか難を退けるも、
ついにはチカラ尽きて深い眠りに落ちるのであった。
天剣と少女の冒険譚。
剣の母シリーズ第二部、ここに開幕!
故国を飛び出し、舞台は北の国へと。
新たな出会い、いろんなふしぎ、待ち受ける数々の試練。
国の至宝をめぐる過去の因縁と暗躍する者たち。
ますます広がりをみせる世界。
その中にあって、何を知り、何を学び、何を選ぶのか?
迷走するチヨコの明日はどっちだ!
※本作品は単体でも楽しめるようになっておりますが、できればシリーズの第一部
「剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!」から
お付き合いいただけましたら、よりいっそうの満腹感を得られることまちがいなし。
あわせてどうぞ、ご賞味あれ。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
黒い鍵の令嬢と陰陽師執事は、今夜も苦しむ魂を救う
柚木ゆず
児童書・童話
罪のない者には救いを。罪を犯した者には罰を。
救いの力を持つ令嬢・宝城エリスと、陰陽師の力を持つ執事の青年・安倍(あべの)蓮。
2人は今夜も、誰かによって苦しめられている魂を救うのでした――。
※8月5日に追記させていただきました。
少なくとも今週末まではできるだけ安静にした方がいいとのことで、しばらくしっかりとしたお礼(お返事)ができないため感想欄を閉じさせていただいております。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
あこがれチェンジ!
柚木ゆず
児童書・童話
ねえねえ。『アコヘン』って知ってる?
カッコよかったり、キラキラしてたり。みんなにも、憧れの人っているよね?
そんな人になれちゃうのが、アコヘンなの。
こんな人になりたいっ! そんな気持ちが強くなると不思議なことが起きて、なんとその人とおんなじ性格になれちゃうんだって。
これって、とっても嬉しくって、すごいことだよね?
でも……。アコヘンには色んな問題があって、性格が変わったままだと困ったことになっちゃうみたい。
だからアコヘンが起きちゃった人を説得して元に戻している人達がいて、わたしもその協力をすることになったの。
いいことだけじゃないなら、とめないといけないもんね。
わたし、陽上花美! パートナーになった月下紅葉ちゃんと一緒に、がんばりますっ!
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
【奨励賞】花屋の花子さん
●やきいもほくほく●
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 『奨励賞』受賞しました!!!】
旧校舎の三階、女子トイレの個室の三番目。
そこには『誰か』が不思議な花を配っている。
真っ赤なスカートに白いシャツ。頭にはスカートと同じ赤いリボン。
一緒に遊ぼうと手招きする女の子から、あるものを渡される。
『あなたにこの花をあげるわ』
その花を受け取った後は運命の分かれ道。
幸せになれるのか、不幸になるのか……誰にも予想はできない。
「花子さん、こんにちは!」
『あら、小春。またここに来たのね』
「うん、一緒に遊ぼう!」
『いいわよ……あなたと一緒に遊んであげる』
これは旧校舎のトイレで花屋を開く花子さんとわたしの不思議なお話……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる