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第19話 楽しいことと、そうじゃないこと(1)
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「美月、お母さんは買い物してくるわね。真鈴さん、娘をよろしくお願いします」
ふたりでゆっくり話せるようにって、フードコートでお母さんと一旦お別れした後。わたし達はお席に座って、注文した『贅沢ソフト』を食べ始めました。
ドキドキドキドキ。
真鈴さんに、喜んでもらえるかな……?
「っ。ミルクが濃厚、なのにしつこくない。濃いのにさっぱりしていて、いくらでも食べられそう。とっても美味しいです」
やった!
一口食べた真鈴さんは口元に手を当てたあと、ニッコリ笑ってくれましたっ。
「バニラビーンズも良いアクセントになっていて、噂を聞いて予想していた以上。食べないのは損していると思うくらいに、美味しいソフトクリームです」
「よかったぁ……!」
「美月ちゃん、誘ってくれてどうもありがとう。私は甘いものが大好きで、今とても幸せです」
「喜んでもらえて、わたしも嬉しいですっ。ここのソフトクリーム、本当に美味しいですよねっ」
わたしも一口食べて、そうしたら勝手に笑顔になっちゃう。
翔くんも言っていたけど、専門店を出せちゃうくらいのお味なんだよね。
「こんなに美味しいアイスを、こんなにも可愛らしくて優しい子とお喋りしながら食べれるだなんて。素敵な連鎖が発生しているわ」
翔くんとわたしが出会って、わたしがVtuberになって、わたしが大丈夫になって、だから『今』がある。
初配信あと以外も真鈴さんは気にかけてくれていて、自分のことみたいに、嬉しそうに微笑んでくれました。
「……真鈴さんが『仲間』が欲しいって言ってくれなかったら、葉月ミアが生まれてなくって。分かったことが、分からないままでした。真鈴さん、欲しいって思ってくれて、ありがとうございますっ!」
「どういたしましてで、こちらこそ応えてくれてありがとうございます。仲間が出来てとっても嬉しいし、実はもう『刺激』を――良い影響をもらっているの。ミアちゃん、美月ちゃんからね」
「ええ!? そうなんですか!?」
わたしから、いい影響をっ!?
ぜ、全然分からないや。どこで、なにが、そうなったのかな……?
「ゲームをプレイしている時も。野球のお話をしている時も。お相撲のお話をしている時も。それ以外もそう。美月ちゃんって、とっても楽しそうに配信するのよね」
「………………」
「だから、見ている方も楽しくなってきちゃう。……視聴者さんに心から楽しんでもらえる配信にするのはとても難しいことで、それを自然とできている美月ちゃんは、とってもすごい配信者さんだと思ってるの」
ぁやや……。
そんな風に、思ってもらえてるんだ……。
「私ももっともっと、見てくれている皆さんに楽しんでもらえるようにしたいな。私自身も美月ちゃんのように、もっともっと楽しめるようにしたいな。そのためには、どうしたらいいのかな? そんな風に考えるようになって、そうしたら色んなアイディアが浮かんできたの」
「わぁ。そうなんですね」
「うん、そう。葉月ミアちゃん――美月ちゃんの配信を見なかったらあんな気持ちにはなっていなくて、たくさんのアイディアも浮かんでいなかった。だから、『良い影響をもらっている』。わたしも貴方に、心から感謝をしています」
そう言ってニコッと笑ってくれた真鈴さんはお手本みたいなお辞儀をしてくれて、わたしもすぐにお辞儀をお返し。こっちも改めて感謝の気持ちをお伝えして――
「ふふ。これからもよろしくお願いします、ミアちゃん。美月ちゃん」
「はいっ。これからもよろしくお願いしますっ。こよみさん、真鈴さんっ」
――次はふたりで一緒に笑いあって、握手をしたのでした。
そうしてわたし達は、あっという間にググっと距離が縮まって――
ふたりでゆっくり話せるようにって、フードコートでお母さんと一旦お別れした後。わたし達はお席に座って、注文した『贅沢ソフト』を食べ始めました。
ドキドキドキドキ。
真鈴さんに、喜んでもらえるかな……?
「っ。ミルクが濃厚、なのにしつこくない。濃いのにさっぱりしていて、いくらでも食べられそう。とっても美味しいです」
やった!
一口食べた真鈴さんは口元に手を当てたあと、ニッコリ笑ってくれましたっ。
「バニラビーンズも良いアクセントになっていて、噂を聞いて予想していた以上。食べないのは損していると思うくらいに、美味しいソフトクリームです」
「よかったぁ……!」
「美月ちゃん、誘ってくれてどうもありがとう。私は甘いものが大好きで、今とても幸せです」
「喜んでもらえて、わたしも嬉しいですっ。ここのソフトクリーム、本当に美味しいですよねっ」
わたしも一口食べて、そうしたら勝手に笑顔になっちゃう。
翔くんも言っていたけど、専門店を出せちゃうくらいのお味なんだよね。
「こんなに美味しいアイスを、こんなにも可愛らしくて優しい子とお喋りしながら食べれるだなんて。素敵な連鎖が発生しているわ」
翔くんとわたしが出会って、わたしがVtuberになって、わたしが大丈夫になって、だから『今』がある。
初配信あと以外も真鈴さんは気にかけてくれていて、自分のことみたいに、嬉しそうに微笑んでくれました。
「……真鈴さんが『仲間』が欲しいって言ってくれなかったら、葉月ミアが生まれてなくって。分かったことが、分からないままでした。真鈴さん、欲しいって思ってくれて、ありがとうございますっ!」
「どういたしましてで、こちらこそ応えてくれてありがとうございます。仲間が出来てとっても嬉しいし、実はもう『刺激』を――良い影響をもらっているの。ミアちゃん、美月ちゃんからね」
「ええ!? そうなんですか!?」
わたしから、いい影響をっ!?
ぜ、全然分からないや。どこで、なにが、そうなったのかな……?
「ゲームをプレイしている時も。野球のお話をしている時も。お相撲のお話をしている時も。それ以外もそう。美月ちゃんって、とっても楽しそうに配信するのよね」
「………………」
「だから、見ている方も楽しくなってきちゃう。……視聴者さんに心から楽しんでもらえる配信にするのはとても難しいことで、それを自然とできている美月ちゃんは、とってもすごい配信者さんだと思ってるの」
ぁやや……。
そんな風に、思ってもらえてるんだ……。
「私ももっともっと、見てくれている皆さんに楽しんでもらえるようにしたいな。私自身も美月ちゃんのように、もっともっと楽しめるようにしたいな。そのためには、どうしたらいいのかな? そんな風に考えるようになって、そうしたら色んなアイディアが浮かんできたの」
「わぁ。そうなんですね」
「うん、そう。葉月ミアちゃん――美月ちゃんの配信を見なかったらあんな気持ちにはなっていなくて、たくさんのアイディアも浮かんでいなかった。だから、『良い影響をもらっている』。わたしも貴方に、心から感謝をしています」
そう言ってニコッと笑ってくれた真鈴さんはお手本みたいなお辞儀をしてくれて、わたしもすぐにお辞儀をお返し。こっちも改めて感謝の気持ちをお伝えして――
「ふふ。これからもよろしくお願いします、ミアちゃん。美月ちゃん」
「はいっ。これからもよろしくお願いしますっ。こよみさん、真鈴さんっ」
――次はふたりで一緒に笑いあって、握手をしたのでした。
そうしてわたし達は、あっという間にググっと距離が縮まって――
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