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第5話 愉悦 異変 コルベット視点(3)

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「とはいえこちらはあまりにも荒唐無稽で、信じてはいただけないでしょう。故にこれから、実際にお目にかけましょう」

 っっ、思った通りだった!!
 父上は……! 父上は……!!

 俺に魅了をかけようとしている!!

「もがぁあ!! もがああ!! もがあああああああ!!」

 やめろ!! やめろ!!
 魅了をかけられたら、自分の意思じゃないものが埋め込まれてしまう!! 嫌だっ! 嫌だっっ! やめろっ!!

「明白にするためだ。我慢するのだコルベット」
「むがぁぁあああ!! むぐううう!! むぐうううううう!!」
「皆様。これから息子に対して魅了をかけ、『わたしを愛してやまない』という状態とします。……お前達、しっかりと目を開かせておいてくれ」

『宝石が反射した光を5秒間見せる』。それが導入なため、俺は慌てて目を閉じた! だが臣下どもによって目を強制的に開かされ、うああああああああ!!
 5秒間、輝きを見てしまった!!

「――。――――。――――――。――――――。続いて呪文を唱え、最後に指を鳴らせば魅了がかかります。……では皆様、まいります」
「もがあああああああ!! もがああああああああ!! もがあああああああああああ!!」

 やめろ!! やめてくれ!! 頼む! お願いだ!!
 父上っ! 父上ぇぇ!!
 今ならまだ間に合うからっ! 止まれ!! とまれぇぇ!! とまれぇええええええええええええええええええ――

 パチン

 ――ぁ、ぁぁ……。ぁぁぁあ……!!
 渇いた音が聞こえると…………。父上の見え方が、急激に変わる。
 目の前に居るのは、無精ひげを生やした小太りの中年……。Loveなんて抱くはずがないのに……。

《好きだ 大好きだ!》

 胸の中から、そんな感情が爆発的な勢いでこみ上げてきて……。

((やめろ! やめるんだ!! やめろっ、俺ぇぇぇぇぇ!!))

 必死になって止めようとするが、身体が止まらない!!

「お前達、もうよいぞ」

 父上の指示によって解放された、その瞬間だった。俺は父上へとものすごい勢いで歩み寄り――


 チュ


 父上を優しく抱き締め、唇にしっかりとキスをしてしまったのだった…………!!

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