幼馴染と婚約者を裏切った２人の末路

第14話 １・２年後～つい～ アドン視点

　……………………。
　あれから半年後に俺達は婚約し、さらに半年後の６月に結婚。俺達は親の命によって夫婦となり、それから今日までの２か月間、俺はエステェに感謝しながら生きてきた。

「…………………………」

　彼女は俺の幸せが、何よりの幸せと言ってくれていた。そのためずっと表情は暗く、人前以外で笑顔を作らなくなる程に落ち込んでくれているのだ。
　だから日々申し訳ないと感じていて、

　そんなことを言うつもりは、まったくなかったんだ。

　……その切っ掛けは、さっき昼寝をした時に見た夢。眠りの世界に落ちると、およそ１年前の光景が浮かび上がってきたのだった。

『ぐす……。ぐす……っ。わかり、ました……。わたし、は……。あどんさまとの、ごえん、を……。なかったこと、に……。しま、す…………』

　当主命令によってエステェと結婚しなければならなくなり、別れないといけなくなった。そう告げるとオフェリーの頬を沢山の涙が流れるようになり、彼女は声を震わせながらコクリと頷いた。

『ぁ、どん、さま……。ひとつ、おねがいしても……。かまいません、か……？』
『……ああ。なんだい、オフェリー』
『つぎの、じんせい、では……。いっしょに、なりたくって……っ、ひぅ……っ。そう、なれる、ように……っ。そのとき、まで…………つながって、いられる、ように……っ。あどん、さまの……。おむねにある……。ねっくれす、を……。くだ、さい……』
『オフェリー……！　もちろんだよっ！　そうだね！　次は必ず、一緒になろう。だから……っ。うん！　もらってくれ!!』

　そうして俺達は悲しみに打ちひしがれながら別れ、だから――。そうなってしまうのは仕方がなかった。

　――どうして俺がっ、オフェリーがっ、こんな目に遭わないといけないんだ!!――。
　――どうして俺達だけがっ、こんなにもつらい思いをしなければならないんだ!!――。

　目を覚ますとそんな精神状態となっていて、部屋を出ると偶然近くにエステェがいた。俺という最愛の人・・・・・・・・と夫婦になれている、エステェが目に入った。
　だから……。だから…………。
　本当に、そんなことを言うつもりは、なかったんだ……。なかったのだが…………。


「いいよなお前は！　最愛の人と一緒に暮らせて毎日幸せなんだから!!」


　こんな風に、声を荒らげてしまったのだった。