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第9話 続く予想外 エステェ視点(3)

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「「「かんぱいっ!」」」

 3人で集まり、思案を始めてからおよそ5時間後。私達は食堂にいて、全員が顔を綻ばせてグラスを鳴らしていた。

 今はとてつもなく、良い流れが来てるんだもの。
 きっと、大丈夫。するりとアイディアが浮かぶはずだわ。

 その予感は、的中。
 しばらくすると3人それぞれに閃きがあって、それを合わせた結果――。完璧な名案となり、明日アドン様と私の関係が解消されることが確定的となったの。

「よかった。本当によかった。エステェ、ありがとう。すまない。卿、痛み入ります。申し訳ございません」
「アドン様の幸せが、私の幸せですから。お気になさらないでください」
「正直に申し上げますと、思うところはありました。ですがこの子が、そう言っているのですからね。わたしもすべてを水に流し、協力させていただきますよ」
「エステェ……! 卿……! 罪を犯した俺に、こんな言葉をくれるだなんて……!! このご恩は、一生涯忘れません……!!」

 私の現状を知らないからアドン様は感謝の涙を流して、そんな姿を見ていたらほんの少しだけ・・・・・・・罪悪感が出てくる。でもアドン様も似たようなことをしていたからお相子で、気にしなくてもいい。むしろ――この作戦は私の協力がないと成功はあり得なかったのだから、もっと感謝してもらってもいい。
 なので私はペコペコする姿を満喫しながら食事を行い、色々な意味で楽しいディナーは幕を閉じたのだった。

「…………エステェ、卿、本日は本当にお世話になりました。明日(あした)はよろしくお願い致します」
「ええ。お任せください」「お任せを」

 私達はもともとオーテラング侯爵邸で過ごすことになっていて、明日(あす)はソレにお父様も同行して縁を切る。そんな流れになっているから、私もお父様もしっかりと握手を交わした。

「決行は明日(あした)の正午。アドン様、頑張りましょうっ」
「……ああ、エステェ。お力をお借りします」

 握手をしたあとは改めてアドン様が深々と頭を下げ、

 キラリ

 私達は一筋の流星が降る空の下で別れ、こうして予想外に満ちた一日は終わりを告げたのでした。



((ふふふ、ふふふふふ。想定外の連続だったけれど、うまくいってよかったわ))

 計画は完璧だし、この国では幸運をもたらす存在がまた現れてもくれた。だからますます成功は確定的で、明日が楽しみだわ。

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