上 下
8 / 37

第4話 過去最高の人への接触 エステェ視点(2)

しおりを挟む
「実を言いますと――。ファレナルース様は、憧れの方だったのですよ」

 やがてピエール様が口にしたのは、信じられないものだった。
 学舎のテストでいつも上位に名を連ねたり、学級委員長や生徒会長を務めていたり。あらゆる場面で先頭を走る私に、いつも尊敬のまなざしを送っていたんですって!

「全てにおいて、ファレナルース様は僕の理想像。人生の目標でして、貴方様のような存在を目指して走り続けているのですよ」
「わ、わぁ。そうだったのですね……っ」
「確固とした目指すべき場所がある。侯爵様や父に認められるようになったのは、はっきりと進路が見えていたから。今の僕があるのは、ひとえに貴方様のおかげなのです」

 だから。
 ピエール様にとって私は、特別な人!


 特別な感情を持っている人、なんですって!!


((まさか、こんな風に思われていただなんて……っ。だったら、このまま一気に攻めてもよさそうね))

 ピエール・サネベーク様は、1番――アドン様なんか比にならないくらい格好よくて、中身も最高。話しをしているだけで、こんなにも楽しくて幸せになれる人なんだもの。


 絶対に、この方と生涯を共にしたい。


((そう思っているから少しでも早く動きたいし、それに。うかうかしていたら、ピエール様がどこかに行ってしまう))

 だってこんなにも素敵な方なのよ? 120点の外見を持つ上に、将来は大きな商会のトップの右腕になるのよっ? 実際かなり言い寄られているみたいだし、躊躇っていたら他の女に取られてしまうわ!

((実質私達は出会ったばかり。普通は、いきなりそんな話をすると幻滅されてしまう))

 で・も。ピエール様は、私は長年慕ってくださっている。

((だ・か。ら。大丈夫))

 勝算あり。きっと上手くいく。
 あれこれ計算をして『成功できる』と判断した私は、ソレへと向けて動き出す! まずは言葉巧みに良い雰囲気を作っていって、充分に仕込みをしたら次のステップへと移行する。

「……ピエール様。ここだとお話ししにくいことを、話したいので……。一緒に、中庭に来てはいただけないでしょうか?」

 幸いにもここはお茶会仲間のお屋敷だから、ある程度融通が利く。一旦離れて――カーラ様にこっそり使用許可を取ったあとお願いを行って、

「…………。はい、喜んで」

 予想通り、OKをもらえた! なので抜け出せるタイミングになったら、揃ってパーティー会場を出て――

しおりを挟む
感想 116

あなたにおすすめの小説

殿下に裏切られたことを感謝しています。だから妹と一緒に幸せになってください。なれるのであれば。

田太 優
恋愛
王子の誕生日パーティーは私を婚約者として正式に発表する場のはずだった。 しかし、事もあろうか王子は妹の嘘を信じて冤罪で私を断罪したのだ。 追い出された私は王家との関係を優先した親からも追い出される。 でも…面倒なことから解放され、私はやっと自分らしく生きられるようになった。

【完結】殿下、私ではなく妹を選ぶなんて……しかしながら、悲しいことにバットエンドを迎えたようです。

みかみかん
恋愛
アウス殿下に婚約破棄を宣言された。アルマーニ・カレン。 そして、殿下が婚約者として選んだのは妹のアルマーニ・ハルカだった。 婚約破棄をされて、ショックを受けるカレンだったが、それ以上にショックな事実が発覚してしまう。 アウス殿下とハルカが国の掟に背いてしまったのだ。 追記:メインストーリー、只今、完結しました。その後のアフターストーリーも、もしかしたら投稿するかもしれません。その際は、またお会いできましたら光栄です(^^)

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

完結 愛人と名乗る女がいる

音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、夫の恋人を名乗る女がやってきて……

【完結】本当に私と結婚したいの?

横居花琉
恋愛
ウィリアム王子には公爵令嬢のセシリアという婚約者がいたが、彼はパメラという令嬢にご執心だった。 王命による婚約なのにセシリアとの結婚に乗り気でないことは明らかだった。 困ったセシリアは王妃に相談することにした。

それは私の仕事ではありません

mios
恋愛
手伝ってほしい?嫌ですけど。自分の仕事ぐらい自分でしてください。

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

処理中です...