今日は、わたしから何でも奪ってきた妹が奪われてしまう日

第22話 もう二人の愚か者 父ガリー視点（１）

「我々は本当にあの子の父親と母親なんです！　のっぴきならない事情によりあの子の名前も自身も名前は言えませんし証拠も出せませんがっ、紛れもない肉親なんです！」
「わたくし達はあの子に危害を加えようなどと考えてはいないんですの！　敵ではなく味方なんですのっ！　信じてくださいっ！」

　キアラは来た道を引き返してはいなかった・・・・・・・・・・・・・・・。つまりこの人々に匿われている可能性が非常に高い。
　まずは無害だと信じてもらうべく、セレストと共に訴えてゆく。

「恐らく二人組に追いかけられていると説明しているのでしょうっ！　あれは違うんですっ！　我々はわけあって別行動をとっておりまして！　長年！　そのブランクによって気付けていないだけなのですよ!!」
「だからわたくし達は事実を伝えたくて必死に追いかけているだけなんです！　あの子が酷い勘違いをしてしまっているだけなんですわ！」
「ちゃんと会えばっ、話せばすぐに分かってもらえるんです！　きっとあまり猶予はなくっ、間に合わなければ高確率で大変なことになってしまうんですよ!!　お願いしますっ、あの子に会わせててください!!」
「一秒でも早く会いたいんです！　お願い致します!!」
「一言でもまともに交わせたのならすぐにあの子は理解できるんです！　とにかくっ、一刻も早く気付いてもらわねばならないのです!!　どうかっ、どうか信じてください！　お願いします！　おねがいしま――？　み、皆様……？　どうなされたのですか……？」