今日は、わたしから何でも奪ってきた妹が奪われてしまう日

第20話 逃走の果てに～偶然、あるいは必然～ キアラ視点（４）

「私は本物のキアラなのよ！　本物だから分かるのよ!!　本当はエレナじゃなくてアレクシアだって分かるのよ!!　アンタっ、こんなところで生きていたのね!!」
「…………そう、貴方はキアラだったのね。やっぱり、行いはすべて返ってきたのね」
「っっ!!　なによそのため息!!　なにが『やっぱり』よ!?　全部分かってたの!?　あんなことになると分かっていたのね!?」

　私の思い込みじゃない！　コイツは確実に予感してた!!

「だっ、だあっ！　だったら!!　だったら言いなさいよ!!　教えなさいよぉっ!!　そうすればアイツらだって止めていたのにっ!!　なんで!?　なんでちゃんと声に出さなかった――」
「おや、随分と騒がしいですね。……失礼。僕の妻に何かご用でしょうか？」

　掴みかかるために詰め寄ろうとしていたら、突然男が――爽やかで穏やかな男性が、アレクシアを守るように割って入って来た。

（（……………………））

　この男は今、『僕の妻』って言った。
　まさか……。まさか……。
　この男は――