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第15話 手紙を読んだ三人は キアラ視点(1)

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「………………だめ……。だめ……」
「……だめだ……。遅かった……」
「もう、どこにも……誰もいない……。なにも取り戻せないわ……」

 手紙を読んだ私達は部屋を飛び出し、捕まえようとしたけど無駄だった……。
 使用人達は御者や馬車と一緒に、とっくにお屋敷を去っていて……。さっきまでウチの馬車が停まっていた場所で、私達は崩れ落ちた。

「……………………」
「……………………」
「……………………」

 あの手紙を書いたオードリー達には、腹が立っている。殺してやりたいくらい憎んでいる。
 でも……。怒る力が、湧いてこない……。
 アイツらを捕まえようとすれば大変なことになるから、何もできなくて……。奪われたものは取り返せないと決まってしまっているから……。
 気力が、出てこない…………。

「……………………」
「……………………」
「……………………」

「……………………」
「……………………」
「……………………」

 怒れないだけじゃなくて……。動くことさえも、できない……。
 私も、お父様も、お母様も……。地面に両膝をついた状態で、空を見上げたまま……。
 頭に鳥のふんが落ちてきても……。叫ぶ気にも、嘆く気にも……ならない……。

「……………………」
「……………………」
「……………………」

 たぶん……。私達がこんな風になって、もう1時間くらい経ったのだと思う。
 それでもまだ誰も動けなくて、声ひとつ出せない。

「……………………」
「……………………」
「……………………」

 だから私達は、ずっと上空を見続けて――


「ははは。いい眺めだな」
「ああ。最高の光景だ」
「どうだ? すべてを失った気持ちは?」


 ――え……? そうしていたら突然、背後から知らない声が響いて来た。

 この声は……。だれ……?
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